EU ETS(EU Emissions Trading System、欧州排出量取引制度)は、2005年に始まった世界最大の炭素市場です。EU域内の発電所や産業施設に対し、CO2排出量に見合う排出枠(EUA=EU Allowance)の保有を義務付け、過不足を市場で売買させるキャップ・アンド・トレード方式をとります。排出枠の総量(キャップ)は年々絞られ、第4フェーズ(2021年〜)の引き締めで価格は一時 €90/tCO2 台まで急騰しました。

炭素価格は火力発電のコストに上乗せされるため、卸電力価格を押し上げる方向に働きます。系統用蓄電池の視点では、火力の限界費用が上がるほど卸電力市場の価格差(ピークとボトムの差)が開きやすく、安く充電して高く放電する裁定収益の源泉が広がります。日本でも2026年度からGX-ETSが本格稼働しており、EUが20年かけて歩んだ道筋は解説 EU ETS と日本の GX-ETS で詳しく扱っています。