キャップ・アンド・トレード(Cap and Trade)は、排出量取引でもっとも広く使われる制度設計です。まず社会全体の排出総量に上限(キャップ)を設け、その範囲で排出枠を企業に配分します。排出が枠を超える企業は市場で枠を買い、余った企業は売る(トレード)ことで、削減コストの低いところから優先的に削減が進む仕組みです。EU ETSや日本のGX-ETSはこの方式を採用しています。
枠の配分には、無償で配る「無償割当」と、オークションで買い取らせる「有償割当」があります。キャップを年々絞るほど枠が希少になり炭素価格が上がる──これがカーボンプライシングとして発電コストに反映され、卸電力市場の価格と変動に波及します。火力比率の高い電力システムほどこの影響を受けやすく、系統用蓄電池の裁定価値にも関わってきます。