1. ノンファーム接続とは

ノンファーム接続(Non-firm Connection)は、従来のファーム型(系統側の混雑が解消されるまで連系不可)とは異なり、系統混雑時の出力制限を許容することを条件に連系を認める接続形態です。系統増強を待たずに早期連系できる代わりに、混雑時には出力制限を受けるトレードオフがあります。

2. 制度導入の背景

2010年代後半、再エネの急拡大により、特に九州・東北・北海道エリアの基幹系統で空き容量が枯渇しました。新規連系を認めるには大規模な系統増強が必要で、再エネ拡大の大きな障壁となっていました。

これを解消するため、2021年から段階的にノンファーム型接続が導入されました。空き容量制約のあるエリアでも、混雑時の制限を覚悟することで、即時連系できる新たな選択肢として広がっています。

3. ファーム型との違い

従来のファーム型接続との比較:

  • ファーム型:系統側の空き容量内で連系。連系後は原則として制御を受けない
  • ノンファーム型:空き容量がなくても連系可能。混雑時は出力制限を受ける

ノンファーム接続は、系統増強を待つ時間(数年)と費用(数億円〜)を回避できる現実的な選択肢です。

4. 制限の実態

ノンファーム接続の制限率は、エリア・年度・案件で変動:

  • 九州エリア:年間制限率10〜20%超のケース
  • 東北エリア:5〜15%
  • 北海道エリア:拡大傾向
  • 関東エリア:限定的

制限率は事業性に直接影響し、事業計画段階での精緻な見積りが必要です。

5. 蓄電池併設による制限吸収

蓄電池併設はノンファーム接続の制限を吸収する有効な手段:

  • 制限時間に発電電力を蓄電池に充電
  • 制限解除後または夕方の高市場価格時間に放電
  • 容量市場・需給調整市場での追加収益化

これにより、ノンファーム接続による収益損失を最小化、ないし収益機会に転換できます。

6. 経済性の評価

ノンファーム接続の経済性評価軸:

  • 連系費用の節約:系統増強分担金の回避
  • 連系時期の前倒し:数年早く事業開始
  • 制限率による収益損失:年間出力の数%〜20%超
  • 蓄電池併設の追加投資:CAPEX増加

これらをトータルで評価し、ファーム型 vs ノンファーム型を比較します。

7. 適用対象

ノンファーム接続の主な適用対象:

  • 太陽光・風力・地熱・バイオマスなどの再エネ電源
  • 系統用蓄電池(蓄電動作と放電動作の両方が制限対象)
  • 既存連系設備の増設

8. 系統運用ルール

ノンファーム接続の運用ルール:

  • 系統混雑予測に基づき、前日または当日に制限指令
  • 制限優先順位は『電源の優先順位ルール』に従う
  • 制限指令への応答時間・継続時間が規定
  • 制限実績の記録・公表

9. 今後の展望

ノンファーム接続は今後、以下の方向で発展:

  • 適用エリアのさらなる拡大
  • 制限管理の高度化(混雑予測精度向上)
  • 蓄電池併設の標準化
  • 系統増強と組み合わせた長期最適化

蓄電池業界にとって、ノンファーム接続は事業機会拡大の重要要素となっています。

主な出典・参考情報

  • JEAC9701 系統連系規程(電気協同研究会)
  • 各電力会社(一般送配電事業者)技術要件・系統連系協議書類
  • 電気設備技術基準・解釈(経済産業省)
  • OCCTO 広域系統長期方針・系統情報公開ガイドライン
  • 高調波抑制対策ガイドライン(資源エネルギー庁告示)
  • IEC 61850・IEEE 1547等の国際標準

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