1. なぜ「全国統合DB」を見るのか

系統用蓄電池の連系検討では、変電所単位の空き容量・予想潮流・N-1電制適用可否の確認が必須です。各送配電事業者は PDF・CSV・JSON など異なる形式 で公開しており、全国を横断した比較・検索は従来困難でした。

蓄電所ネット では、北海道電力NW・東北電力NW・北陸電力送配電・中部電力PG・関西電力送配電・中国電力NW・四国電力送配電・九州電力送配電・沖縄電力 の9社のデータを統一スキーマに変換し、合計6,507件を一元化(2026年5月8日時点、東京電力PGは公開停止中で別途対応予定)。中部地方は 地図ベースで1,081箇所のマーカー表示 を実現しています。

2. 全国分布の概観(v23時点)

蓄電所ネット のデータベース(2026年5月時点)から、エリア別の実態は以下の通りです。

  • 関西(最大): 1,624件 ── 産業集積度高く、運用容量制約が多い
  • 中部: 1,107件 ── 平均空容量29.8 MWで全エリア最高、緯度経度付き、地図検索可能
  • 東北: 884件 ── 風力連系候補多く、空容量分布も広い
  • 九州: 879件 ── 31地区(離島含む)に分割公開、ノンファーム接続適用が多い
  • 中国: 873件 ── 沿岸部の重工業密集
  • 北海道: 424件 ── 空容量プラス比率83%(全エリア最高)、ただしN-1電制可は4件のみ(1%)
  • 四国: 294件 ── 平均空容量25.6 MW(中部に次ぐ)
  • 北陸: 271件 ── 立地は限定的だが N-1電制適用可率が高い
  • 沖縄: 151件 ── 離島系統独自の特徴

全6,507件のうち、空容量プラス(cap_avail_mw > 0)が約4,700件以上(72%)で蓄電所連系候補として有望。N-1電制適用可は約535件(8%)です。東京電力PG(関東1都7県、推定1,500〜2,500件)が公開再開すれば、全国制覇が見えてきます。

3. エリア別の連系制約パターン

(1)関西エリア: 件数は最大ながら産業需要密度が高く、運用容量制約が顕著。優良候補は限定的なため早期スクリーニングが重要。(2)中部エリア: 平均空容量29.8 MWは全エリアで最大値で、N-1電制適用可も148件(13%)と高比率。業界初の地図ベース検索/grid/chubu/map で稼働中。(3)九州エリア: 31地区(離島含む)に細分化公開、空容量プラス602件(68%)でノンファーム接続適用設備が多い。(4)北海道エリア: 空容量プラスは83%と全エリア最高比率だが、PDFソース由来で「不可 #N」表記が多く N-1電制可は1%のみ。元データの公表方針が反映されている。(5)東北・中国・四国・北陸・沖縄: いずれも CSV ベースで構造化済み、エリア特性に応じた利用が可能。

4. 中部マップの4色マーカー解説

蓄電所ネット の中部マップでは、1,081箇所を以下の4色で分類表示しています。

  • : 空容量プラス かつ N-1電制適用可(最有望候補)
  • : 空容量プラス(連系候補)
  • オレンジ: 空容量0以下(連系困難、ただしノンファーム接続の余地あり)
  • グレー: 空容量データなし(水力発電所変電所等で特殊事情)

マーカーをクリックするとポップアップで詳細表示し、個別変電所ページへ遷移可能。クラスタリング機能で広域から狭域まで負荷なく閲覧できます。

5. 蓄電所事業者が活用する5つのポイント

(1)空容量プラスの絶対値より相対値: エリア平均との比較で立地優位性を判断。(2)N-1電制適用可の存在 ── ノンファーム接続でも連系可能性が確保される。(3)平常時出力制御の可能性 ── 経済性・年間収益に直結する重要指標。(4)電圧階級(一次/二次kV)── 154kV/77kV/66kV で接続コスト・系統位置が大きく変動。(5)運用容量制約要因 ── 熱容量制約は容量増で対応可能、電圧/系統安定度制約は対策困難。

6. 全国マップへの展望と中長期課題

v23時点で 緯度経度付き 1,081件は中部のみ。残り8エリア5,426件の緯度経度補完は中長期課題です。各社の地図API/GeoJSON 順次調査による中部PG パターンの横展開で対応する方針。東京電力PG(公開停止中、2026年5月中再開予定)のデータが揃えば、関東1,500〜2,500件を加えて 全国10社制覇 が見える状態です。

7. まとめ ── 統合DB+地図がもたらす実務革新

系統制約は地域ごとに大きく異なり、各社の公開形式も統一されていません。蓄電所ネット は統合DB+地図ベース検索で、事業候補の初期スクリーニングを劇的に効率化します。中部マップで実証されたパターンを全国展開し、業界全体のデータ標準化と地図ベース可視化を推進することが、業界の競争優位性の源泉となります。

蓄電所ネットの空き容量データベースは /grid、中部地方の地図検索は /grid/chubu/map、東京電力PG の公開状況は /grid/tokyo でご確認いただけます。