発電事業者は、電気事業法第2条第1項第14号に定義される発電事業(自らが維持し、及び運用する発電等用電気工作物を用いて小売電気事業、一般送配電事業、配電事業又は特定送配電事業の用に供するための電気を発電し、又は放電する事業であって、その事業の用に供する発電等用電気工作物が経済産業省令で定める要件に該当するもの)を営むことについて、経済産業大臣に届出をした者を指す(同項第15号・同法第27条の27第1項)。経済産業省令の要件は、出力1,000kW以上などの条件を満たす発電等用電気工作物の、小売電気事業等の用に供するための接続最大電力の合計が1万kWを超えることである(電気事業法施行規則第3条の4)。
2014年の電気事業法改正(平成26年法律第72号。施行日は政令で定める日)で電気事業の類型が再編されて発電事業が設けられ、届出制となった(改正前の卸電気事業者のうち届出をすべき者は、その施行日に発電事業の届出をしたものとみなされた=平成26年法律第72号附則第3条)。届け出る事項は電気事業法第27条の27第1項の各号に定める事項で、氏名又は名称及び住所、主たる営業所その他の営業所の名称及び所在地、発電用の電気工作物は設置の場所・原動力の種類・周波数・出力、蓄電用の電気工作物は設置の場所・周波数・出力・容量、事業開始の予定年月日などである。これらの事項を変更するときも届け出る(同条第3項・第4項)。
発電事業者の主な義務には、(a)電気の安定供給に資する設備運用、(b)供給計画を作成し、電力広域的運営推進機関(OCCTO)を経由して経済産業大臣に届け出ること(電気事業法第29条第1項)、(c)需給ひっ迫時の電力融通指示への対応、(d)省エネ法・温暖化対策法に基づくCO2排出量等の報告、(e)電気主任技術者の選任・保安規程の届出、などがある。
蓄電所のうち、定置型蓄電池を電源として活用するもの(系統用蓄電池)は、自ら維持・運用して小売電気事業等の用に供する電気を放電する事業として、事業に用いる設備が施行規則第3条の4の要件に該当すれば発電事業にあたる(電気事業法第2条第1項第5号ロ・第14号)。2022年の電気事業法改正(令和4年法律第46号。施行は原則2023年4月1日)の附則第9条は、蓄電用の電気工作物を維持し運用している既存の発電事業者のうち、施行日以後も引き続き維持・運用しようとする者に、施行日前に、その設置の場所・周波数・出力・容量(第27条の27第1項第3号ロ)の届出を求めた。蓄電所事業者は、電気事業法施行規則第3条の4の要件に該当する場合に発電事業届出を行い、ライセンス対応・OCCTOへの諸届出を実施する。
2030年に向けて、発電事業者の事業環境は再エネ・蓄電池本格普及・火力フェーズアウト・長期脱炭素電源オークション運用・需要側マネジメント拡大・コーポレートPPA高度化・サイバーセキュリティ強化・ESG対応など、多面的な進化が続きます。蓄電所事業者にとって、発電事業者ライセンスの戦略的活用、TSO・OCCTOとの連携、業界団体経由の政策対話が事業の中長期成功の重要要素となります。
蓄電所業界全体において、本領域の継続的な進化への対応は競争力・社会的信頼・事業継続性の基盤となります。技術・運用・規制対応の高度化、AI・デジタル基盤の戦略的活用、業界団体・規制当局・パートナー企業との中長期関係構築、最新動向の継続把握が、2030年代の脱炭素化加速時代における事業成功の重要要素として位置付けられます。
2030年代以降のグローバル脱炭素化加速・電力市場進化・電化進展・産業構造転換の中で、本領域は日本のエネルギー転換・産業競争力強化・経済安全保障確保の重要要素として位置付けられます。海外先進事例(米国・欧州・豪州・中国等)の継続把握、グローバル業界団体・国際標準化機関への参画、海外プロジェクト機会の探索、日本企業の海外展開支援機関(JBIC・JICA・JOGMEC等)との連携、ESG・サステナビリティ・グリーンファイナンス対応の高度化が、中長期競争力の基盤として戦略的に重要です。
主な出典・参考情報
- 経済産業省・資源エネルギー庁 政策資料・統計
- OCCTO(電力広域的運営推進機関)公表資料
- 業界団体資料(JESIA、JPEA、JWPA等)
- IEA・IRENA等の国際機関統計
- 各社IR資料・公開情報