1. 概要

2026年度から需給調整市場の一次調整力二次調整力①のkW価値の上限価格が、従来の19.51円/ΔkW・30分から15円/ΔkW・30分へ引き下げられる。これは資源エネルギー庁の制度設計WGで議論され、約定価格の高止まり是正と需要家負担の軽減が目的。同時に募集量も見直され、市場の流動性と安定性のバランスが図られる。

2. なぜ引き下げか

需給調整市場は2021年度から段階的に開設されてきた新市場で、当初は応札不足から約定価格が上限張り付きの傾向にあった。とくに一次・二次①は応動時間が短く、火力発電や蓄電池など高速応答リソースが少なかったため、発電事業者の収益確保がしやすい一方、需要家(電気料金)への転嫁が進んでいた。系統用蓄電池の急増により応札量が増え、価格適正化のフェーズに入ったとされる。

3. 蓄電所ビジネスへの影響

系統用蓄電池の収益はkW価値(容量市場・需給調整市場)とkWh価値(JEPXアービトラージ)の組み合わせで構成される。上限引き下げは需給調整市場収益の上振れ余地を縮小するため、特に2024〜2025年に高めの収益前提でファイナンス組成した案件は、IRR見直しが必要になる可能性がある。

一方で、20年契約で固定収入を得られる長期脱炭素電源オークション(LTDC)落札案件や、kWh価値主体のマルチユース運用案件は影響が限定的。今後はkW価値依存からの脱却、複数市場のポートフォリオ運用がカギになる。

4. 事業者の対応

主要アグリゲーター(エナリス、ユーラスエナジー、e-Flow等)は、容量市場・JEPX・需給調整市場を横断するマルチユース運用ロジックを高度化中。エナリス×Fluence(2025/6 MOU)、旭化成×中国電力(2026/4)など、AI最適化システムの共同開発が活発化している。

5. 今後のスケジュール

2026年4月から新しい上限価格での約定が始まる。3月13日の前日取引移行(3月14日精算)を境に、市場参加者は新条件下でのオペレーションへ。約定結果はOCCTOが週次で公表する。


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