蓄電所の騒音・離隔の目安チェッカー(距離減衰と騒音規制法の規制基準の範囲)
簡易な距離減衰の計算と、騒音規制法の規制基準の範囲を並べる目安です。実際の値は地形・反射・気象・機器の特性で変わります。設計・測定・自治体への確認の代わりにはなりません。
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蓄電所の PCS・変圧器・空調の室外機・送風機などの騒音レベル(仕様書の値とその測定距離)と台数を最大 10 行入れると、受音点(敷地の境界線など)での合成レベルを距離減衰の式で概算し、騒音規制法にもとづく告示の範囲(区域の区分 × 時間の区分)のどこにあるかと、範囲の上限・下限まで下がる距離を並べます。送風機・空気圧縮機には、騒音規制法の特定施設(施行令 別表第一)との関係を条文の語で注記します。
1. 音源(最大 10 行)
騒音レベルには機器の仕様書や測定記録の 1 台の値(A特性の騒音レベル)を、測定距離にはその値を測った距離を入れます。同じ機器が複数あるときは台数を入れます。1 台の原動機の定格出力は、送風機・空気圧縮機などが騒音規制法の特定施設に当たるかの注記に使います(任意)。
2. 受音点と区分
3. 結果(目安)
- 受音点の合成レベル
- —(音源の騒音レベル・測定距離・台数と、受音点までの距離を入れると出ます)
- 比べる範囲
- 区域が不明のため、下の表に 4 区域を並べます(昼間)
- 告示の範囲との位置
- —
- 範囲の上限まで下がる距離
- —
- 範囲の下限まで下がる距離
- —
- 範囲の下限未満: 告示の範囲でいちばん厳しい値(下限)も下回っています。条例の別の基準や、測り方の違いは扱っていません。
- 範囲内(自治体の値による): 告示の範囲の中にあります。自治体が定めた値によって、上回ることも下回ることもあります。
- 範囲の上限超: 告示の範囲でいちばん緩い値(上限)も上回っています。
- 騒音規制法の規制基準が掛かるのは、指定地域内で特定施設を設置する工場・事業場(特定工場等)です(騒音規制法第2条第2項・第5条)。特定施設が無い場合も、条例の基準が掛かることがあります。所在地の規制基準の値は、都道府県・市・特別区で確かめてください。
- 距離は、丸める前の上限・下限の値から逆算した目安です(表示は約の値)。
| 区域の区分 | 告示の範囲 | 告示の範囲との位置 | 上限まで下がる距離 | 下限まで下がる距離 |
|---|---|---|---|---|
| 第一種区域 | 45〜50 デシベル | — | — | — |
| 第二種区域 | 50〜60 デシベル | — | — | — |
| 第三種区域 | 60〜65 デシベル | — | — | — |
| 第四種区域 | 65〜70 デシベル | — | — | — |
| 音源 | 種類 | 台数 | 1 台の値 | 受音点(台数込み・減衰後) |
|---|---|---|---|---|
| 音源 1 | PCS(パワーコンディショナ) | — | — | 計算に入れていない |
4. 特定施設(騒音規制法施行令 別表第一)の注記
音源の値を入れると、機器の種類ごとに施行令 別表第一の語との関係を示します。
届出と、電気事業法の電気工作物である特定施設の扱いは、このページの「特定施設と届出」に書いています。
計算のしかたと前提
- 1 台の受音点レベル: L(d) = L(r0) − 20 log10(d ÷ r0)。L(r0) は 1 台の騒音レベル、r0 はその測定距離、d は受音点までの距離(m)。発生源を点音源と見なせる場合の式です(距離が 2 倍になると 20 log10 2 ≒ 6 dB 下がる)。
- 同じ機器 n 台: L + 10 log10(n)。合成の式を同じ値 n 個に当てたもので、宮城県「騒音の尺度」の表(同じ発生源 2 台で約 +3 デシベル、10 台で約 +10 デシベル)と同じ値になります。
- 複数の音源の合成: L = 10 log10 Σ 10^(Li ÷ 10)。
- 全部の音源が受音点から同じ距離 d にあるものとして計算します。音源の位置の違いは入れていません(受音点にいちばん近い音源からの距離を入れると、大きめの側に出ます。当サイトの扱い)。
- 防音壁などの減衰量は、入れた値をそのまま引きます(空欄は 0)。回折の近似式(周波数の前提が要る)は入れていません。
- 地面での吸収・空気による吸収・建物での反射・機器の指向性・地形・気象は入れていません。吸収を入れないぶん実際より大きめに出やすい一方、反射があると実際の値が大きくなることもあります。
- 区分の判定と表示は 0.1 dB に丸めた値で行います。合成レベルは受音点 1 点の値で、敷地の境界線のどの点で測るかや、騒音の測り方(変動する騒音の決め方)は扱っていません。
告示の範囲(規制基準はこの範囲内で自治体が定める)
騒音規制法では、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長)が規制する地域を指定し、環境大臣が定める基準の範囲内で、時間の区分と区域の区分ごとの規制基準を定めます(騒音規制法第3条第1項・第4条第1項)。規制基準は、特定施設を設置する工場・事業場(特定工場等)の敷地の境界線における騒音の大きさの許容限度です(騒音規制法第2条第2項)。下の表は、環境大臣が定める範囲(告示)です。所在地の規制基準そのものではありません。
| 区域の区分 | 昼間 | 朝・夕 | 夜間 |
|---|---|---|---|
| 第一種区域 | 45〜50 デシベル | 40〜45 デシベル | 40〜45 デシベル |
| 第二種区域 | 50〜60 デシベル | 45〜50 デシベル | 40〜50 デシベル |
| 第三種区域 | 60〜65 デシベル | 55〜65 デシベル | 50〜55 デシベル |
| 第四種区域 | 65〜70 デシベル | 60〜70 デシベル | 55〜65 デシベル |
- 第一種区域:
- 良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域
- 第二種区域:
- 住居の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域
- 第三種区域:
- 住居の用にあわせて商業、工業等の用に供されている区域であつて、その区域内の住民の生活環境を保全するため、騒音の発生を防止する必要がある区域
- 第四種区域:
- 主として工業等の用に供されている区域であつて、その区域内の住民の生活環境を悪化させないため、著しい騒音の発生を防止する必要がある区域
- 昼間:
- 午前七時又は八時から午後六時、七時又は八時まで
- 朝・夕:
- 朝は午前五時又は六時から午前七時又は八時まで、夕は午後六時、七時又は八時から午後九時、十時又は十一時まで
- 夜間:
- 午後九時、十時又は十一時から翌日の午前五時又は六時まで
- 時刻は告示が候補を示し、どの時刻にするかは規制基準を定める都道府県知事・市長が決めます。朝と夕は時刻の範囲が別で、基準の範囲は同じ 1 つです。
- 第二種〜第四種区域にある学校・保育所・病院・入院施設のある診療所・図書館・特別養護老人ホーム・幼保連携型認定こども園の敷地の周囲おおむね 50m の区域内では、都道府県知事(市の区域内は市長)が規制基準として定める値以下、その値から 5 デシベルを減じた値以上とすることができます(告示 第一条第1項ただし書)。
- 町村は、指定地域の自然的・社会的条件に特別の事情があり、知事が定めた規制基準では住民の生活環境を保全するのに十分でないと認めるときは、条例で、告示の範囲の下限値以上で規制基準を代えて定めることができます(騒音規制法第4条第2項・告示 第二条)。都道府県・市の条例で、法とは別の規制基準や対象(例: 東京都の環境確保条例の工場・指定作業場の基準)を定めていることもあります。
特定施設と届出
騒音規制法の特定施設は、施行令 別表第一に掲げる施設です(全 11 号)。蓄電所の機器と語が重なるのは第二号の「空気圧縮機(一定の限度を超える大きさの騒音を発生しないものとして環境大臣が指定するものを除き、原動機の定格出力が七・五キロワット以上のものに限る。)及び送風機(原動機の定格出力が七・五キロワット以上のものに限る。)」です(チェッカーは 1 台の原動機の定格出力 7.5kW を境に注記の文を変えます)。別表第一に「パワーコンディショナ」「変圧器」「空気調和」「冷凍機」「蓄電池」の語はありません。
指定地域内の工場・事業場(特定施設が設置されていないもの)に特定施設を設置しようとする者は、設置の工事の開始の日の三十日前までに市町村長に届け出ます(騒音規制法第6条第1項。既に届け出た特定施設の数や騒音の防止の方法を変えるときは第8条)。ただし、電気事業法の電気工作物である特定施設を設置する者には、騒音規制法の第6条から第11条までの規定などを適用せず、電気事業法の相当規定によります(騒音規制法第21条第1項)。規制基準を守る義務(騒音規制法第5条)は、この適用除外に入っていません。
具体的な施設が特定施設に当たるか、所在地が指定地域か、規制基準の値はいくつかは、所在地の市町村・特別区・都道府県で確かめます(環境省のパンフレットも、特定施設かどうかは市町村または特別区に、規制基準や指定地域は市・特別区または都道府県に問い合わせるよう案内しています)。
規制基準と環境基準は別のもの
騒音に係る環境基準は、環境基本法第16条第1項にもとづいて、地域の類型と時間の区分ごとに定められた基準です。環境省のパンフレットは、環境基準を「行政上の政策目標」とし、騒音規制法の規制基準とは異なるものと説明しています(規制基準は、特定工場等の敷地の境界線における騒音の大きさの許容限度=騒音規制法第2条第2項)。このチェッカーが並べるのは規制基準の範囲だけです。
確認先
- 環境省 騒音規制法の概要(制度の仕組み・パンフレット)
- 東京都環境局 工場・事業場等に対する騒音・振動の規制(都道府県のページの例。区・市の窓口と、環境確保条例の基準)
- 大阪府 工場・事業場の規制について(都道府県のページの例。規制基準の表と届出先。府内の規制地域は市町村の環境担当課に問い合わせるよう案内)
- 総務省 公害等調整委員会 公害苦情相談窓口(全国の市区町村・都道府県の環境の担当窓口を探す入口。苦情相談の窓口の一覧で、届出の窓口の一覧ではありません)
関連
- 蓄電所 評価軸セルフチェック(A5=設備の騒音源ごとの仕様・測定記録、C6=騒音規制法の指定地域)
- 系統用蓄電所 資産台帳テンプレート(02_設備の「騒音仕様(dB)」「騒音の測定距離(m)」の列に、このチェッカーに入れる値を記録できます)
- 用語集
出典
各資料は 2026-10-12 に取り直して、条文・表・式の逐語を確かめました。
- e-Gov 法令検索「騒音規制法」(昭和四十三年法律第九十八号)第2条・第3条・第4条・第5条・第6条・第8条・第21条
- e-Gov 法令検索「騒音規制法施行令」(昭和四十三年政令第三百二十四号)第1条・別表第一
- 環境省 法令・告示・通達「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」(昭和43年 厚生省・農林省・通商産業省・運輸省告示第1号)第一条(表・ただし書・備考1)・第二条
- 宮城県「騒音の尺度」(騒音レベルの和とその表・騒音レベルの距離減衰(点音源の場合))
- 国土技術政策総合研究所 国総研資料 第714号「道路環境影響評価の技術手法(平成24年度版)」4.2 建設機械の稼働に係る騒音(解説4.2.13 の合成の式・解説4.2.14 の点音源の式=2πr² で地面の上の半球に広がる形)
- 厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について」(基発0420第2号・令和5年4月20日)別紙4 等価騒音レベルの推計(音響パワーレベルからの距離減衰の式)
- 環境省「騒音規制法の概要」(規制のしくみ・都道府県知事等が規制基準を定めること)
- 環境省「騒音規制法 住みよい音環境を目指して」(パンフレット。届出義務・Q&A:環境基準は行政上の政策目標で規制基準とは異なる・特定施設かどうかの問い合わせ先)
- 環境省「騒音に係る環境基準について」(環境基本法第16条第1項にもとづく告示・地域の類型と時間の区分)
- 東京都環境局「工場・事業場等に対する騒音・振動の規制」(確認先の例)
- 大阪府「工場・事業場の規制について」(確認先の例)
- 総務省 公害等調整委員会「公害苦情相談窓口」(担当窓口を探す入口)
データの扱いと免責
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