サーマルカメラ(Thermal Camera、赤外線カメラ)は、物体から放射される赤外線(波長8〜14μmの遠赤外線が一般的)を検出し、温度分布を可視画像として表示するカメラで、目視では分からない温度ムラ・異常発熱を非接触で検出できる。蓄電所では、電池モジュール・PCS・変圧器・ケーブル接続部・配電盤等の異常発熱の早期検知に広く活用される。

蓄電所での具体的活用シナリオは、(1)電池コンテナ内のセル温度監視(局所過熱検出、熱暴走前兆把握)、(2)モジュール接続部のホットスポット検出(接触不良・劣化)、(3)PCS内部のIGBT・コンデンサ温度(ファン故障・冷却不全の早期検出)、(4)変圧器の絶縁劣化検知(部分放電による局所発熱)、(5)バスバー接続部の温度異常(ボルト緩み、酸化、メッキ劣化)、(6)ケーブル接続端子の発熱(圧着不良)、(7)コンテナ防爆排気口・空調吸排気口の温度監視、などである。

主要な計測仕様は、(a)解像度(320×240画素〜640×480画素級が標準)、(b)温度測定範囲(一般用-20〜+550℃、産業用-40〜+2,000℃)、(c)温度分解能(0.05℃〜0.1℃)、(d)視野角(標準25°×19°、広角・望遠オプション)、(e)画像出力(USB、LAN、HDMI)、(f)防塵防水等級(IP54以上)、で、用途・予算により選定される。FLIR Systems、Fluke、テストー(Testo)、リコー、NEC、日本アビオニクス等が主要メーカー。

運用形態は、(i)固定設置型(コンテナ内・PCS室の常時監視)、(ii)巡回点検型(O&M担当者が手持ち機器で月次点検)、(iii)ドローン搭載型(広域サイトの上空からの全体スキャン)、(iv)AI画像解析連携(異常検知の自動化、トレンド分析)、と多様化している。蓄電所のスマート保全システムでは、サーマルカメラデータをBMSデータ・電気計測データと統合解析し、複合的な異常検知精度を向上させる取り組みが進んでいる。年間検査でのサーマルカメラ点検は、ほぼすべての系統用蓄電所で標準実務となっている。

蓄電所業界では、本技術領域の継続的な進化への対応が事業競争力の決定要因です。AI・デジタルツイン基盤の活用、サイバーセキュリティ強化(IEC 62443等)、サーキュラーエコノミー対応、メーカー・第三者試験機関・業界団体との連携、国際標準化への参画が、技術上の競争力・社会的信頼・運用継続性を支える重要な戦略要素となります。

国際的には、IEC・IEEE等の国際標準化機関での規格策定、グローバル製造・運用事業者間の技術連携、新興市場(東南アジア・中東・アフリカ等)への展開機会拡大が進展しています。日本企業にとって、本技術領域での研究開発投資の継続、スタートアップ・大学・国立研究機関との産学連携、特許戦略・知財管理の高度化、海外実証案件への参画が、グローバル競争力確保の重要要素です。経済安全保障・サプライチェーン国産化政策の中で、本技術の戦略的位置付けは中長期的にますます重要となります。

国際的には、IEC・IEEE等の国際標準化機関での規格策定、グローバル製造・運用事業者間の技術連携、新興市場(東南アジア・中東・アフリカ等)への展開機会拡大が進展しています。日本企業にとって、本技術領域での研究開発投資の継続、スタートアップ・大学・国立研究機関との産学連携、特許戦略・知財管理の高度化、海外実証案件への参画が、グローバル競争力確保の重要要素です。経済安全保障・サプライチェーン国産化政策の中で、本技術の戦略的位置付けは中長期的にますます重要となります。

主な出典・参考情報

  • IEC(国際電気標準会議)規格群(IEC 62933、IEC 62619、IEC 61850等)
  • IEEE(米国電気電子学会)標準(IEEE 1547、IEEE 2030.5等)
  • JIS(日本産業規格)電気・電池関連規格
  • UL認証規格(UL 9540、UL 9540A、UL 1973等)
  • 各メーカー製品仕様書・技術資料
  • NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)技術ロードマップ