1. 卒FITとは
卒FITは、FIT制度の認定期間を終了した太陽光発電案件を指します。固定価格買取が終了し、市場価格での売電か自家消費に移行します。住宅用は10年、事業用は20年がFIT認定期間です。
2. 卒FIT発生のタイミング
卒FITの発生時期:
- 2019年〜:住宅用太陽光(2009年認定分が10年経過)
- 2032年〜:事業用太陽光(2012年FIT制度開始分が20年経過)
2019年からの卒FIT住宅用が約53万件・約200万kWに達し、毎年継続的に増加しています。
3. 卒FIT後の選択肢
卒FIT後の主な選択肢:
- (1) 自家消費(蓄電池併設):余剰電力を蓄電池で貯め、夜間消費
- (2) 市場価格売電:新電力やスポット市場経由で売電
- (3) FIP移行:FIP制度への登録(一定条件あり)
- (4) コーポレートPPA:法人需要家との直接契約
- (5) 売却・譲渡:第三者に発電所を売却
4. 自家消費+蓄電池の経済性
住宅用卒FIT太陽光(4kW相当)に蓄電池併設の試算:
- FIT終了後の市場買取価格:8〜12円/kWh
- 自家消費の経済価値:買電単価25〜35円/kWh
- 蓄電池導入コスト:100〜150万円(10kWh級)
- 投資回収:8〜12年程度
5. 蓄電池業界の機会
卒FITは蓄電池業界の主要成長機会の一つ:
- 2019年以降、毎年数十万件が卒FITに
- 2030年代には数百万件規模に
- 住宅用蓄電池の主要需要源
- VPP・V2Gのリソース化機会
6. 主要な蓄電池メーカー
卒FIT向け住宅用蓄電池メーカー:
- パナソニック(住宅用蓄電池の老舗)
- シャープ(屋根置き太陽光と一体)
- 京セラ
- ニチコン
- ダイヤゼブラ電機
- 長州産業
- テスラ Powerwall
- HuaweiDigital Power
7. 系統への影響
卒FITによる系統への影響:
- FIT太陽光からの売電量減少(自家消費化)
- 需要家側の発電・蓄電池リソース増加
- VPP参加リソースの拡大
- 需要パターンの変化
8. 補助金活用
卒FIT+蓄電池導入の補助金:
- 東京都『災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業』
- SII『需要家側エネルギーリソース活用に関する実証事業』
- 各自治体の住宅用蓄電池補助金
- ZEH補助金
9. 事業用太陽光の卒FIT
2032年以降に到来する事業用太陽光の卒FIT:
- 大規模太陽光(メガソーラー)の20年認定期間終了
- 系統用蓄電池併設・FIP移行の検討
- 更新投資の判断(パネル交換等)
- サイト撤去・原状回復のリスク
10. 今後の展望
卒FIT関連の動向:
- 住宅用蓄電池市場の継続拡大
- VPPプラットフォーム経由での市場参加
- EV充電器との連携
- HEMS・BEMSによる統合制御
- 事業用大規模卒FITへの対応
卒FIT は蓄電池業界の継続的な成長機会として、引き続き重要性が拡大します。
主な出典・参考情報
- OCCTO(電力広域的運営推進機関)公表資料・運用規程
- 資源エネルギー庁 電力・ガス事業政策
- 電力・ガス取引監視等委員会 報告書・指針
- JEPX(日本卸電力取引所)取引データ・市場ルール
- 需給調整市場・容量市場 業務規程
- 経済産業省 エネルギー基本計画