Hz(ヘルツ、Hertz)は、周波数(時間あたりの繰り返し回数)の国際単位で、1秒間に1回繰り返す現象が1Hz(1秒に1サイクル)。電力系統では交流電圧・電流の周波数の単位として使用される。日本の電力系統は東日本(東京電力PG、東北電力NW、北海道電力NWのエリア)が50Hz、西日本(中部電力PG、関西電力送配電、北陸電力送配電、中国電力NW、四国電力送配電、九州電力送配電、沖縄電力のエリア)が60Hzで運用される世界的にも珍しい異周波数並立システムである。

日本の50Hz/60Hz並立の歴史的経緯は、(1)1880〜90年代の電力黎明期、(2)東京電燈はドイツAEG社製50Hz発電機を導入、(3)大阪電燈・名古屋電燈は米国GE社製60Hz発電機を導入、(4)1923年関東大震災後の復興期も周波数統一は経済的に困難で見送り、(5)結果として東日本50Hz・西日本60Hzが固定化、(6)周波数変換設備(FC:Frequency Converter)で東西連系:佐久間FC(300MW)、新信濃FC(600MW)、東清水FC(300MW、計1,200MW)、(7)2030年代に向けて連系容量拡大計画(2倍の2,400MW級へ)、で現在に至る。

系統運用上の周波数管理は、(a)目標値(公称値):50Hz東日本、60Hz西日本、(b)許容偏差:±0.2Hz(±0.4%)が標準、(c)瞬時偏差:故障時等の短時間で±0.5Hz超もあり、(d)周波数調整階層:(i)GF(Governor Free):1次調整、応答秒オーダー、(ii)LFC(Load Frequency Control):2次調整、応答数十秒〜分、(iii)EDC(Economic Dispatching Control):3次調整、応答数分〜数十分、(e)AGC(Automatic Generation Control):自動発電制御による中央給電指令所からの指令信号、(f)系統慣性:同期発電機の回転質量による自然な安定化作用、で複合的に運用される。

蓄電所と周波数の関係は、(i)周波数調整サービス:一次調整力(GF応答10秒以内、5分継続)、二次調整力①(LFC、5分以内、30分)、二次調整力②(10分以内、3時間)、三次調整力①(45分以内、3時間)、三次調整力②(45分以内、6時間)、(ii)需給調整市場:周波数調整能力を商品化した市場(kW価値・kWh価値の組合せ)、(iii)応答速度の優位性:蓄電池は数十ms〜秒単位で応答可能、火力発電所より大幅に速い、(iv)双方向調整:上げ調整(出力増、放電)と下げ調整(出力減、充電)の両方向対応、(v)系統慣性低下対応:再エネ大量導入による同期発電機減少での仮想慣性供給(Grid-Forming Inverter)、(vi)将来技術:超高速応答(ms単位)、慣性応答模擬、で多面的に貢献できる。

各国の周波数規格は、(A)50Hz地域:欧州、ロシア、中東、アフリカ、アジア(中国、インド、日本東日本、韓国、ASEAN)、豪州、南米一部、(B)60Hz地域:北米(米加メ)、日本西日本、韓国(一部)、ブラジル、フィリピン、台湾、(C)グローバル基準:IEC 60038(標準電圧・周波数)、で大きく2分される。グローバル展開する蓄電所メーカーは50Hz/60Hz両対応のPCS・BMS製品を提供している。

2030年代の周波数管理の進化方向は、(i)系統慣性低下への対応強化(再エネ大量導入による同期発電機減少)、(ii)Grid-Forming Inverter(仮想慣性、自律的周波数支援)の普及、(iii)東西連系(FC)の容量拡大(2,400MW級へ)、(iv)需給調整市場の高度化(応答速度別の市場細分化)、(v)AI・機械学習による周波数予測・最適制御、(vi)ブラックスタート機能の蓄電池活用、(vii)電池の周波数調整サービスの収益機会拡大、で蓄電所事業の戦略的価値が一層高まる。本サイト「BESS-NET」も周波数調整技術・市場動向を継続解説する方針である。

主な出典・参考情報

  • IEC(国際電気標準会議)規格群(IEC 62933、IEC 62619、IEC 61850等)
  • IEEE(米国電気電子学会)標準(IEEE 1547、IEEE 2030.5等)
  • JIS(日本産業規格)電気・電池関連規格
  • UL認証規格(UL 9540、UL 9540A、UL 1973等)
  • 各メーカー製品仕様書・技術資料
  • NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)技術ロードマップ