ファイナンスリース(Finance Lease、Capital Lease)は、リース契約形態の一つで、(1)解約不能(中途解約禁止または高額の違約金)、(2)フルペイアウト(リース料総額が資産価値の概ね90%以上)、の2要件を満たすリース契約を指す。実質的な購入と同等の経済的効果があり、会計上は使用権資産と同時にリース債務をオンバランス計上するのが原則である。オペレーティングリースと対をなす概念。
会計処理上の論点は、(a)日本基準:従来は所有権移転FL・所有権非移転FL・OLの3区分、2027年4月以降のリース会計基準改正でIFRSに整合、(b)IFRS 16(2019年4月以降):FL/OLの区分廃止、12ヶ月超リースは原則オンバランス、(c)米国ASC 842(2019年1月以降):FL(Capital Lease)/OL の区分維持、ただし両者ともオンバランス、(d)税務処理:リース料の損金算入タイミング、利息相当部分の取扱、特例措置、で複雑な対応が必要。
蓄電所事業でのファイナンスリース活用シナリオは、(1)大型機器の調達ファイナンス:蓄電池モジュール・PCS・変圧器の機器ファイナンス、(2)SPC(特別目的会社)の機器調達:プロジェクトファイナンスの一環、(3)家庭用蓄電池のリース販売:エンドユーザーの月額負担化、(4)EV車載電池のサブスクリプション、(5)リース会社の保有資産化:オリックス、三井住友ファイナンス&リース等の蓄電池ポートフォリオ、(6)海外プロジェクトの現地ファイナンス、で多様な活用が見られる。
主要リース会社は、(a)国内:オリックス、三井住友ファイナンス&リース、東京センチュリー、三菱HCキャピタル、芙蓉総合リース、NTT・ファイナンス、商事リース、(b)海外:BNP Paribas Leasing、Société Générale Equipment Finance、CIT、DLL、(c)電池サプライヤー連動:CATL、BYD等の販売金融、(d)独立系リース・ファクタリング会社、で多様な選択肢がある。
蓄電所事業者にとってのファイナンスリースのメリット・デメリットは、(i)メリット:(A)初期投資(CAPEX)削減、(B)税務優遇(リース料の損金算入)、(C)残存価値リスクのリース会社移転、(D)保守・運用一括サービス(フルサービスリース)、(E)バランスシート最適化(一部スキーム、IFRS 16以降は限定的)、(F)信用補完(リース会社の信用枠活用)、(ii)デメリット:(A)リース期間中の解約困難・高額違約金、(B)長期総コストが購入を上回る場合あり、(C)資産所有権がない(処分・改造制約)、(D)リース料に金利相当部分含む、(E)会計改訂で従来のオフバランスメリット減少、(F)契約条項の複雑性、で評価される。
運用論点は、(i)リース期間:法定耐用年数との整合(蓄電池の法定耐用年数は10年)、(ii)残存価値設定:リース満了時の機器残存価値、(iii)保証範囲:性能保証、瑕疵担保責任、(iv)保守責任:リース会社 vs 利用者、(v)保険:火災保険・損害保険の付保責任、(vi)譲渡性:プロジェクト譲渡時のリース引継、(vii)海外取引:移転価格税制、為替リスク、(viii)会計改訂対応:IFRS 16・日本基準改正への対応、で多面的な検討が必要である。蓄電所事業のファイナンス選択は、CAPEX調達手法(プロジェクトファイナンス、コーポレートファイナンス、リース)の戦略的選択の中で、リース活用が一部の機器・スキームで有効な選択肢として位置付けられる。
主な出典・参考情報
- 各社IR資料・有価証券報告書・統合報告書
- 業界団体資料(JESIA、JPEA、JWPA、電池工業会等)
- BloombergNEF・IHS Markit S&P Global・Wood Mackenzie等の調査レポート
- 経済産業省・資源エネルギー庁 産業政策資料
- IEA(国際エネルギー機関)World Energy Outlook
- TCFD・ISSB・GRI等のサステナビリティ情報開示基準