国産化(Domestic Production、国内サプライチェーン構築)は、海外(特に中国)に依存している製品・部品を国内で製造可能とする政策・産業活動で、蓄電池業界では2022年の経済安全保障推進法に基づく特定重要物資指定以降、政府支援と業界投資が加速している重要施策である。リチウム・ニッケル・コバルト等の重要鉱物、電池セル・モジュール、PCS、変圧器等の各層で国産化推進が進められている。

政府支援策の主要なものは、(1)経産省「蓄電池製造サプライチェーン強靭化支援事業」(2023〜2024年度、補助金最大3,316億円規模、トヨタ・ホンダ・パナソニック・GSユアサ・住友化学等が採択)、(2)「重要鉱物の安定供給確保のための支援措置」(JOGMEC支援含む)、(3)「先端的な重要技術の開発支援」(K Programによる固体電池等次世代技術R&D支援)、(4)特許出願の非公開化制度(センシティブ技術の開示制限)、(5)外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく投資審査強化、(6)友好国との重要鉱物パートナーシップ(豪・米・カナダ・EU・韓国・英・印など)、で多層的に展開される。

蓄電池の国産化推進の状況は、(a)車載用電池セル:パナソニックエナジー、トヨタ+プライムプラネットエナジー&ソリューションズ、AESC(旧日産系)、村田製作所、GSユアサ、(b)系統用蓄電池セル:実用規模では中国系メーカー圧倒的シェア、国産は実証段階・小規模、(c)PCS(パワーコンディショナ):東芝ESS、富士電機、明電舎、ニチコン、安川電機等で国産シェア確保、(d)変圧器:日新電機、東芝、富士電機、明電舎等で国産シェア高い、(e)電池材料(正極材、負極材、電解液、セパレータ):旭化成、東レ、住友化学、JFEケミカル等で世界シェア確保領域も、(f)リサイクル:JX金属、住友金属鉱山、三菱マテリアル等が事業化、と階層により国産化進捗が異なる。

国産化推進の論点は、(i)規模の経済性確保(中国系メーカーのコスト競争力との比較)、(ii)原材料調達のサプライチェーン依存(リチウム・ニッケル・コバルト・グラファイトの中国経由調達)、(iii)人材育成(電池専門技術者の確保・育成)、(iv)研究開発投資の継続性、(v)需要の確実性(国内需要の確保、輸出市場開拓)、(vi)EU・米国市場での日本産電池の競争力、(vii)リサイクル経由の循環調達拡大、などである。系統用蓄電所事業では、当面は中国系製品調達が経済合理的だが、長期的には国産・友好国産製品比率の段階的引き上げが業界全体の方向性となる見通しである。

グローバル展開の観点では、米国・欧州・東南アジア・中東等の海外市場展開機会、海外電池メーカー・PCSメーカー・運用事業者・インフラファンドとの戦略提携、国際標準化機関(IEC・IEEE・ISO)への参画、海外プロジェクトファイナンスの組成、各国規制(FERC・NFPA 855・EU電池規則等)への適合が、中長期事業戦略の重要要素です。日本企業の海外展開支援として、JBIC・JICA・JOGMEC等の公的機関との連携も活用が拡大しており、グローバル蓄電所市場での日本企業のプレゼンス確立が、業界の中長期成長を支えます。

グローバル展開の観点では、米国・欧州・東南アジア・中東等の海外市場展開機会、海外電池メーカー・PCSメーカー・運用事業者・インフラファンドとの戦略提携、国際標準化機関(IEC・IEEE・ISO)への参画、海外プロジェクトファイナンスの組成、各国規制(FERC・NFPA 855・EU電池規則等)への適合が、中長期事業戦略の重要要素です。日本企業の海外展開支援として、JBIC・JICA・JOGMEC等の公的機関との連携も活用が拡大しており、グローバル蓄電所市場での日本企業のプレゼンス確立が、業界の中長期成長を支えます。

主な出典・参考情報

  • 各社IR資料・有価証券報告書・統合報告書
  • 業界団体資料(JESIA、JPEA、JWPA、電池工業会等)
  • BloombergNEF・IHS Markit S&P Global・Wood Mackenzie等の調査レポート
  • 経済産業省・資源エネルギー庁 産業政策資料
  • IEA(国際エネルギー機関)World Energy Outlook
  • TCFD・ISSB・GRI等のサステナビリティ情報開示基準