需給調整 収益シナリオ(蓄電池)
需給調整市場 6 商品(一次・二次①②・三次①②・複合)の蓄電池落札単価(EPRX 実績)に 落札率・容量・年間コマ数を掛けた概算年間収益を試算します。
単価は「蓄電池が約定したときの水準」(volume 非加重、L-EIC-018)です。 既定は FY2024(通年・確定)。FY2025(通年・確定) もトグルで切替可能(FY2025 は EPRX 2026年6月18日公表の通年確報)。 前提次第で結果が大きく変わる感応度ツールとしてご活用ください。
・単価は「蓄電池が約定したときの単価水準」(EPRX・volume 非加重)。総収益 = 単価 × 全量ではありません。
・三次②の高単価は約定が稀(FY2024: 50 円超の落札量が全体の 2.3% で調達費の 61%)。落札率は保守的に。
・エネルギー制約上、蓄電池が全コマ(年 17,520)で同容量を提供することはできません。コマ数・落札率は実態に合わせて下げてください。
・FY2024・FY2025 とも通年(各年度 4月〜翌3月)の確定値です。FY2025 は EPRX が 2026 年 6 月 18 日に公表した通年確報で、旧・上期暫定値から改訂されています。
・ΔkW 上限価格の改定: 一次調整力・二次調整力①・複合商品の上限価格は2026 年 8 月 31 日実需給分まで 15.00 円/ΔkW・30分、2026 年 9 月 1 日実需給分から 10.00 円/ΔkW・30分(適用終了は「当面の間」)。二次調整力②・三次調整力①は 7.21 円/ΔkW・30分を当面継続、三次調整力②は上限なし。下表の単価は引下げ前の実績(FY2024 通年/FY2025 通年)のため、2026 年 9 月以降を試算する場合は 上限のある商品の単価を新上限以下に読み替えてください(出典: EPRX 2026 年 7 月 30 日公表「需給調整市場のΔkW上限価格について」、 根拠: 第 4 回 電力安定供給ワーキンググループ 資料 6)。
・出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)/ data.eic-jp.org catalog 2026-05-24。
単価の年度
基本前提
商品別 落札率・期待年間収益
落札率は保守的なプレースホルダ(保証値ではありません)。実態に合わせて調整してください。
| 商品 | 単価(FY2024(通年・確定)) | 落札率 [%] | 期待年間収益 |
|---|---|---|---|
| 一次調整力 | 15.99 円/ΔkW・30分 | 約 1.40 億円 | |
| 二次調整力① | 7.71 円/ΔkW・30分 | 約 6,754 万円 | |
| 二次調整力② | 12.61 円/ΔkW・30分 | 約 1.10 億円 | |
| 三次調整力① | 10.60 円/ΔkW・30分 | 約 1.86 億円 | |
| 三次調整力②高単価・約定稀 | 109.43 円/ΔkW・30分 | 約 3.83 億円 | |
| 合計(概算レンジ) | 約 8.87 億円 | ||
期待年間収益[円] = 単価[円/ΔkW・30分] × 提供容量[kW] × 年間提供コマ数 × (落札率[%] ÷ 100)
※ 落札率に「約定の希少性(L-EIC-018)」を反映させてください。三次②の高単価は小ボリューム約定に帰因します。
蓄電池・VPP・揚水・火力・水力/5種完結
需給調整市場における「二極構造」——新型(蓄電池・VPP)は各年度当時の上限価格付近、従来型(火力・水力・揚水)は 1〜5 円の基準線——を5電源種別で比較します。
三次調整力②(FY2024 代表値)
新型:蓄電池 109.43 円 / VPP 46.24 円
従来型:火力 4.9 円 / 揚水 0.72 円(水力は三次②約定なし) 約 152 倍差
新型(蓄電池・VPP)=各年度当時の上限価格付近に集中、従来型(火力・水力・揚水)=1〜5 円の基準線。 高速応動の希少価値が新型の高単価を形成しています。
① 蓄電池・VPP の単価は「約定したときの水準」(volume 非加重)。総収益 = 単価 × 全量ではありません。
② VPP は約定月数が少なく、値が荒い傾向があります(二次①②は系列なし・約定ゼロ、一次 FY2024 は約定ゼロ)。
③ 揚水・火力・水力は従来電源の基準線(低単価・安定)。
④ FY2024・FY2025 とも通年(各年度 4月〜翌3月)の確定値です。FY2025 は EPRX が 2026 年 6 月 18 日に公表した通年確報で、旧・上期暫定値から改訂されています。
④-2 FY2025 は水力と揚水が EPRX 側で合算公表に変わりました。 本表では FY2025 を「水力・揚水(合算)」の 1 行で表示し、FY2024 は従来どおり水力・揚水を 別行で表示します(合算値を水力または揚水の値として出すと系列の意味が変わるため)。
⑤ 出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)「取引実績の取りまとめ結果」より転記・編集 / data.eic-jp.org catalog 2026-05-26(balancing 系 39)。
⑥ 火力・水力の単価は大口・代表的落札水準(複数年契約 / 発電コスト連動が多い)。蓄電池・VPP と直接比較する際は入札戦略の違いにも留意。
⑦ ΔkW 上限価格の改定: 一次調整力・二次調整力①・複合商品の上限価格は、2026年8月31日実需給分まで 15.00 円/ΔkW・30分、2026年9月1日実需給分から 10.00 円/ΔkW・30分(適用終了は「当面の間」)。二次調整力②・三次調整力①は 7.21 円/ΔkW・30分を当面継続、三次調整力②は上限なし。 本表の FY2024・FY2025 は引下げ前の実績で、2026年9月以降の上限のある商品の単価水準はこれより低くなります (出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)2026年7月30日公表「需給調整市場のΔkW上限価格について」、根拠: 第4回 電力安定供給ワーキンググループ 資料6)。
表示年度
落札単価 比較表 — FY2024(通年・確定)(円/ΔkW・30分)
| 商品 | 蓄電池(新型) | VPP(新型) | 火力(従来型) | 水力(従来型) | 揚水(従来型) |
|---|---|---|---|---|---|
| 一次 | 15.99 | 系列なし / 約定ゼロ | 2.29 | 2.28 | 4.17 |
| 二次① | 7.71 | 系列なし / 約定ゼロ | 3.17 | 2.24 | 3.70 |
| 二次② | 12.61 | 系列なし / 約定ゼロ | 3.02 | 1.82 | 1.84 |
| 三次① | 10.60 | 7.21 | 2.90 | 1.82 | 1.90 |
| 三次②← 二極構造 | 109.43 | 46.24 | 4.90 | 系列なし / 約定ゼロ | 0.72 |
| 複合 | 15.80 | 7.21 | 2.89 | 1.82 | 2.12 |
※ バーは同 FY・全商品の最大値(109.43 円)を 100% として正規化。 「系列なし / 約定ゼロ」は EPRX での公表データなし。
落札単価 比較表 — FY2025(通年・確定)(円/ΔkW・30分)
| 商品 | 蓄電池(新型) | VPP(新型) | 火力(従来型) | 水力・揚水(従来型・合算) |
|---|---|---|---|---|
| 一次 | 11.52 | 19.12 | 2.61 | 1.49 |
| 二次① | 12.51 | 系列なし / 約定ゼロ | 2.89 | 1.73 |
| 二次② | 12.81 | 14.74 | 2.75 | 1.81 |
| 三次① | 12.28 | 7.09 | 2.65 | 1.68 |
| 三次②← 二極構造 | 19.31 | 53.59 | 1.34 | 0.64 |
| 複合 | 11.50 | 17.07 | 2.63 | 1.67 |
※ バーは同 FY・全商品の最大値(53.59 円)を 100% として正規化。 「系列なし / 約定ゼロ」は EPRX での公表データなし。
VPP は蓄電池・EV・ヒートポンプ等の分散リソースを束ね、需給調整市場に参加します。 三次②で蓄電池(109.43 円)に次ぐ 46.24 円(FY2024)を記録しており、次世代アグリゲーターとして運用収益と資産価値の両立を狙う電源種別です。 一次・二次①② は約定月数が少なく参考値。落札量は EPRX 非公開(図のみ)のため、不足率を落札しやすさの代理として併用。
蓄電池コストが収益に与える影響(事業性の感度)
需給調整 三次②で蓄電池が約定する単価(FY2024 実績 109.43 円/ΔkW・30分)に対し、 蓄電池の設備コストが下がるほど IRR は上振れします。系統用蓄電池のCAPEXはNREL ATB 2024版で 約 ¥83,000/kWh(米国前提・4時間構成・USD/JPY 158.34)。 コストが ±20% 動くと事業性がどう変わるかは IRR シミュレーターの 3シナリオ(楽観/実データ/保守)で試算できます。
背景は解説 「LCOEと蓄電池の経済性」を参照。「再エネ大量導入時代に蓄電池がなぜ経済性を持つか」を、コスト(LCOS)と 複数市場の収益から解説しています。
・単価データ出典: 一般社団法人 電力需給調整力取引所(EPRX)「取引実績の取りまとめ結果」より転記・編集(加工した旨を明記)。EPRX 利用規約 §4 に従い非商用・出典明示で利用。
・FY2024・FY2025 とも通年の確定値です(FY2024 は EPRX 2025年3月公表、FY2025 は EPRX 2026年6月18日公表の通年確報で旧・上期暫定値から改訂)。FY2025 は水力と揚水が EPRX 側で合算公表に変わったため、電源種別比較の FY2025 は「水力・揚水(合算)」の1行で表示しています。
・データ加工・提供: data.eic-jp.org (一般社団法人エネルギー情報センター、catalog 2026-05-26(balancing 系 39))。
・本ツールは断定的な収益予測ではありません。投資判断には一次資料および専門家への確認を推奨します。
・落札量(volume)は EPRX が図のみ・数値非公開のため系列化せず、不足率を調達逼迫度の代理として併用。市場規模は必要時にグラフ目視の概算(注釈付き・精度限定)。
・感度解説内の蓄電池CAPEX参考値は NREL Annual Technology Baseline (ATB) 2024(米国前提・CC BY 4.0)、為替換算は EIC Dataの fx-usdjpy-monthly-avg による。low/high は当サイトの感度レンジ仮定(mid±20%)であり、NREL の予測値ではありません。 詳細は解説 「LCOEと蓄電池の経済性」を参照。