託送供給(Wheeling Supply、Wheeling Service)は、発電事業者・小売電気事業者・特定送配電事業者・特定卸供給事業者等が、一般送配電事業者の送配電網を経由して、需要家・他事業者に電力を送り届ける供給形態を指す。電気事業法に基づき、託送供給等約款(一般送配電事業者の標準契約書)の枠組みで運営される、現代の自由化された電力市場の基幹的供給形態である。
託送供給の種類は、(1)小売電気事業者向け:新電力(PPS)が需要家に電力販売する際の送電網利用、(2)発電事業者向け:発電所から需要家・市場への電力送付、(3)特定送配電事業者向け:閉鎖区域内に対する電力供給、(4)特定卸供給事業者向け:VPPアグリゲーターが市場に応札する電力、(5)相対契約(PPA)向け:発電事業者と需要家の直接契約、(6)コーポレートPPA:再エネ発電所から企業需要家へ、(7)バーチャルPPA(VPPA):物理的供給と独立した金融的契約、で多様化している。
託送料金の構成要素は、(a)基本料金(kW契約電力比例、契約電力1kWあたり数百円〜数千円/月)、(b)電力量料金(kWh使用量比例、1kWhあたり数円)、(c)燃料費調整(毎月変動、JEPXスポット価格・燃料市況連動)、(d)再エネ賦課金(毎年告示、2024年度3.49円/kWh)、(e)特殊料金(インバランス料金、需給ひっ迫補正料金、混雑処理料金)、で構成され、エリア別・需要規模別・電圧階級別に料金体系が異なる。
2023年4月のレベニューキャップ方式(送配電事業者の収入上限規制)導入により、(i)一般送配電事業者の総収入が5年単位で固定化(規制期間第1:2023〜2027年度)、(ii)効率化インセンティブ付与(事業者の効率化努力が利益に直結)、(iii)統一基準(10事業者で統一的な料金算定根拠)、(iv)災害投資・脱炭素化投資の特別措置、(v)DR・蓄電池等の系統側活用への料金優遇検討、で従来の総括原価方式から大きく転換した。
蓄電所事業との関係では、(A)発電事業者として託送供給契約を締結(ライセンス取得後)、(B)契約電力(連系容量)に応じた基本料金、(C)託送料金の事業性影響:特に大容量蓄電所では託送費用がキャッシュフローに大きく影響、(D)双方向潮流対応:充放電による電流方向反転、託送料金算定の特殊取扱、(E)特定卸供給事業(VPPアグリゲーター):複数蓄電池リソースを束ねた供給、(F)コーポレートPPA:再エネ+蓄電池併設での24/7マッチング供給、(G)地域マイクログリッド:地産地消の特殊供給、(H)2030年代の託送料金体系構造変化(容量料金導入、地域別料金)、で多面的に影響する。
運用論点は、(i)契約変更:容量変更、電圧階級変更時の手続、(ii)需給管理:計画値同時同量制度、30分単位計画提出、(iii)インバランス料金:計画値と実績値の差分精算、(iv)出力制御対応:再エネ大量接続地区での出力抑制、(v)混雑処理:ノンファーム接続案件の取扱、(vi)緊急時対応:需給ひっ迫時の優先順位、(vii)紛争処理:電力・ガス取引監視等委員会への申立、(viii)規制動向把握:5年単位の制度変更、で継続的なマネジメントが求められる。融資レンダーは託送供給の安定性をPF成立の前提として厳格審査する。
2030年代以降のグローバル脱炭素化加速・電力市場進化・電化進展・産業構造転換の中で、本領域は日本のエネルギー転換・産業競争力強化・経済安全保障確保の重要要素として位置付けられます。海外先進事例(米国・欧州・豪州・中国等)の継続把握、グローバル業界団体・国際標準化機関への参画、海外プロジェクト機会の探索、日本企業の海外展開支援機関(JBIC・JICA・JOGMEC等)との連携、ESG・サステナビリティ・グリーンファイナンス対応の高度化が、中長期競争力の基盤として戦略的に重要です。
主な出典・参考情報
- 経済産業省・資源エネルギー庁 政策資料・統計
- OCCTO(電力広域的運営推進機関)公表資料
- 業界団体資料(JESIA、JPEA、JWPA等)
- IEA・IRENA等の国際機関統計
- 各社IR資料・公開情報
関連:実データで確認
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