OFR(Over Frequency Relay:過周波数リレー)とUFR(Under Frequency Relay:不足周波数リレー)は、それぞれ系統周波数の過上昇・過低下を検知して遮断器に動作信号を送る保護リレーです。系統に大規模な需給不均衡(大型発電機脱落、大需要喪失、連系線事故等)が発生した際、系統全体の周波数が定格値(東日本50Hz、西日本60Hz)から逸脱します。OFR/UFRは、その逸脱を検知して、自設備を系統から解列・保護する役割を担います。
蓄電所では、系統連系規程・電気事業法に基づき、OFR/UFRの設置と整定値(動作する周波数値・継続時間)の電力会社協議が必須です。標準的な整定例として、UFRは47.5Hz以下が0.5秒継続、OFRは51.5Hz以上が0.5秒継続で動作などの設定が用いられます(数値はエリア・設備規模により異なる)。動作するとPCS出力が遮断され、蓄電所は系統から切り離されます。これは自設備保護と系統の事故拡大防止の両方を目的としており、系統側の事故波及を防ぐ重要装置です。
近年、再エネ大量導入により、系統慣性力が低下する傾向にあります。慣性力(イナーシャ)が低い系統では、周波数変動の速度が大きくなり、従来の整定値では誤動作・遅動作のリスクが高まります。このため、UFR動作値・継続時間の見直しや、ROCOF(Rate of Change of Frequency:周波数変化率)リレーの追加導入が議論されています。蓄電池は、PCS制御で擬似慣性(仮想慣性)機能を実装することで系統安定化に貢献でき、その場合のOFR/UFR整定との整合性も論点となります。
2030年に向けて、再エネ・インバータ電源比率の大幅増加により、周波数保護の高度化が不可欠です。系統用蓄電池には、グリッドフォーミング機能(系統電圧・周波数を自ら作り出す制御方式)の実装が期待され、慣性力供給・系統安定化への貢献が制度上も評価される方向です。OFR/UFR・ROCOFリレーの整定値協調設計、IEC 61850デジタル保護による高速化、AI解析による系統状態のリアルタイム把握など、保護リレー技術全般が次世代化の局面を迎えています。
蓄電所業界では、本技術領域の継続的な進化への対応が事業競争力の決定要因です。AI・デジタルツイン基盤の活用、サイバーセキュリティ強化(IEC 62443等)、サーキュラーエコノミー対応、メーカー・第三者試験機関・業界団体との連携、国際標準化への参画が、技術上の競争力・社会的信頼・運用継続性を支える重要な戦略要素となります。
国際的には、IEC・IEEE等の国際標準化機関での規格策定、グローバル製造・運用事業者間の技術連携、新興市場(東南アジア・中東・アフリカ等)への展開機会拡大が進展しています。日本企業にとって、本技術領域での研究開発投資の継続、スタートアップ・大学・国立研究機関との産学連携、特許戦略・知財管理の高度化、海外実証案件への参画が、グローバル競争力確保の重要要素です。経済安全保障・サプライチェーン国産化政策の中で、本技術の戦略的位置付けは中長期的にますます重要となります。
国際的には、IEC・IEEE等の国際標準化機関での規格策定、グローバル製造・運用事業者間の技術連携、新興市場(東南アジア・中東・アフリカ等)への展開機会拡大が進展しています。日本企業にとって、本技術領域での研究開発投資の継続、スタートアップ・大学・国立研究機関との産学連携、特許戦略・知財管理の高度化、海外実証案件への参画が、グローバル競争力確保の重要要素です。経済安全保障・サプライチェーン国産化政策の中で、本技術の戦略的位置付けは中長期的にますます重要となります。
主な出典・参考情報
- IEC(国際電気標準会議)規格群(IEC 62933、IEC 62619、IEC 61850等)
- IEEE(米国電気電子学会)標準(IEEE 1547、IEEE 2030.5等)
- JIS(日本産業規格)電気・電池関連規格
- UL認証規格(UL 9540、UL 9540A、UL 1973等)
- 各メーカー製品仕様書・技術資料
- NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)技術ロードマップ