景表法(不当景品類及び不当表示防止法、Act against Unjustifiable Premiums and Misleading Representations)は、商品・サービスの取引における不当な景品類の提供および不当な表示(誇大広告)を規制する消費者保護法で、1962年制定、消費者庁が所管する。蓄電所業界では、特に家庭用蓄電池の広告・販売における誇大表示・優良誤認の規制で重要な法律である。

規制対象となる不当表示の主要類型は、(1)優良誤認表示:商品・サービスの品質・規格・効能等を実際より著しく優良であると誤認させる表示、(2)有利誤認表示:価格・取引条件を実際より著しく有利であると誤認させる表示、(3)その他誤認表示(指定6類型):①無果汁飲料、②商品の原産国、③消費者信用の融資費用、④不動産のおとり広告、⑤おとり広告(一般商品)、⑥有料老人ホームの表示、で多面的に規制される。

違反時の措置は、(a)措置命令:違反行為の差止、再発防止策、公表、(b)課徴金:違反対象商品の売上高の3%(2014年導入、2016年から適用)、(c)刑事罰:(限定的、悪質な場合)、(d)行政指導、(e)社会的信用毀損、で多層的なペナルティが適用される。違反対応として、(i)消費者からの申告対応、(ii)景品類提供時の規制(懸賞、総付景品の上限)、(iii)広告審査体制の整備、が事業者の責務となる。

蓄電池業界での具体的論点は、(A)家庭用蓄電池の訪問販売・電話勧誘での誇大トーク(「補助金で実質無料」「節電効果で完全に投資回収」「停電に絶対に困らない」等)、(B)容量・出力・効率の表示(メーカーカタログ値と実運用値の乖離)、(C)保証期間の誤認(「10年保証」の実態確認)、(D)「特定業者だけのキャンペーン価格」「今だけ特別」等の有利誤認、(E)競合製品との比較広告(根拠ある表示の必要性)、(F)「お客様の声」の真実性確保、(G)ステマ規制(2023年10月施行、令和5年消費者庁告示)対応、で多面的に規制される。

2023年10月施行のステマ規制(景表法第5条第3号、令和5年内閣府告示)は、(i)事業者からの広告である事実を表示せずに広告と誤認させない表示が違反、(ii)「広告」「PR」「協賛」等の明示が必要、(iii)SNS、口コミサイト、レビューサイト等での運用に注意、(iv)違反は措置命令・課徴金・公表対象、で蓄電池業界の広告手法の根本的見直しを迫る規制となった。

業界対応として、(A)大手メーカー(パナソニック、シャープ、京セラ、ニチコン、長州産業等)は社内広告審査体制整備、(B)販売事業者向けガイドライン整備(業界自主規制)、(C)電池工業会・JPEAの倫理規範、(D)外部広告審査(業界第三者機関)、(E)広告クリエイティブの法務レビュー、(F)取引先・代理店への教育、が標準実務化している。系統用蓄電所事業(B2B)では一般に景表法適用は限定的だが、業界全体のレピュテーション影響を受けるため、適切な広告・PR活動が重要となる。

2030年代以降のグローバル脱炭素化加速・電力市場進化・電化進展・産業構造転換の中で、本領域は日本のエネルギー転換・産業競争力強化・経済安全保障確保の重要要素として位置付けられます。海外先進事例(米国・欧州・豪州・中国等)の継続把握、グローバル業界団体・国際標準化機関への参画、海外プロジェクト機会の探索、日本企業の海外展開支援機関(JBIC・JICA・JOGMEC等)との連携、ESG・サステナビリティ・グリーンファイナンス対応の高度化が、中長期競争力の基盤として戦略的に重要です。

主な出典・参考情報

  • 経済産業省・資源エネルギー庁 政策資料・統計
  • OCCTO(電力広域的運営推進機関)公表資料
  • 業界団体資料(JESIA、JPEA、JWPA等)
  • IEA・IRENA等の国際機関統計
  • 各社IR資料・公開情報