1. 計画値同時同量とは

計画値同時同量制度は、電力小売全面自由化(2016年)以降の電力システムにおいて、発電・小売事業者が30分単位で計画と実績を一致させることを求める制度です。差分はインバランスとして料金精算されます。

2. 制度の背景

電力システム改革の中で、発電・小売の自由化に伴い、各事業者が自己の発電・需要計画を遵守する責任を負う仕組みが整備されました。計画値同時同量制度は、その中核です。

3. 計画値の提出

事業者は前日までに、翌日の30分単位(48コマ)の発電・需要計画値を一般送配電事業者に提出します。実需給当日は、その計画値と実績値の差分が監視されます。

4. インバランスの精算

計画値と実績値の差分はインバランスとして精算:

  • 発電インバランス:計画より発電が多い/少ない
  • 需要インバランス:計画より需要が多い/少ない

料金水準は需給状況に応じた市場ベースで決定され、需給逼迫時には高額になります。

5. 対象事業者

計画値同時同量制度の対象:

  • 小売電気事業者(新電力含む)
  • 発電事業者(FIT・FIP含む)
  • 系統用蓄電池事業者
  • 需給調整契約のあるBG(バランシンググループ)

6. FIPと計画値同時同量

FIP制度の太陽光・風力事業者は、計画値同時同量制度の対象です。発電予測誤差はインバランスペナルティに直結するため、需給予測精度・運用最適化が事業性の鍵となります。

7. 蓄電池併設のメリット

蓄電池は計画値同時同量遵守を支える有効な手段:

  • FIP併設:太陽光・風力の予測誤差を蓄電池で吸収
  • 系統用蓄電池:自社のインバランスリスクをヘッジ
  • アグリゲーター:複数リソースのインバランス相殺

8. BG(バランシンググループ)

個社単独でインバランス削減が難しい場合、BG(Balancing Group)に参加することで、グループ全体のインバランスを管理できます。代表事業者を立てて一般送配電事業者と契約します。

9. 30分値の重要性

計画値同時同量は30分単位での制度のため、30分値(30分単位の電力量計測)が基本単位となります。スマートメーターの普及で、30分値計測は社会インフラとして整備されました。

10. 海外との比較

欧米では15分単位(一部5分)への移行が進んでおり、日本でも将来的な短縮の可能性が議論されています。短縮は、蓄電池の応答性価値をさらに高める方向に作用します。

欧州(ENTSO-E・EU電力市場)・米国(FERC・各ISO/RTO)・豪州(AEMO)・中国・韓国等の海外電力市場における同様制度の動向把握が、日本の制度設計改善の参考として重要です。グローバル機関投資家・ESG投資ファンド・グリーンファイナンス機関の参入拡大、IFRS S2・TCFD等の情報開示基準対応、24/7マッチング・カーボンプライス連動の本格化が、市場機能の高度化を駆動します。蓄電所事業者は、業界団体・規制当局との対話に加え、海外動向の継続把握・国際的な業界連携への参画が、戦略上の重要要素となります。

主な出典・参考情報

  • OCCTO(電力広域的運営推進機関)公表資料・運用規程
  • 資源エネルギー庁 電力・ガス事業政策
  • 電力・ガス取引監視等委員会 報告書・指針
  • JEPX(日本卸電力取引所)取引データ・市場ルール
  • 需給調整市場・容量市場 業務規程
  • 経済産業省 エネルギー基本計画