追加オークション(Additional Auction)は、容量市場のメインオークション(実需給年度の4年前に実施)の後に、不足容量・追加調達ニーズ・需給見通し変更等に対応するため実施される追加的な容量調達オークションです。日本の容量市場(2024年度本格運用開始)では、メインオークションに加えて、追加オークション(実需給年度の1年前)が制度化されており、容量市場の柔軟性・予見可能性・需給逼迫リスク対応の重要メカニズムとして機能します。蓄電所事業の容量市場参加の重要選択肢として、業界の中核制度です。

追加オークションの主要な仕組みは次の通りです。第一に、調達タイミングで、実需給年度(運用年度)の1年前に実施、メインオークションでの不足分・需給見通し変更分・新規参入対応分を調達。第二に、対象容量で、メインオークション後の需給見通し精緻化、新規電源建設遅延への対応、撤退電源の代替確保等の規模、典型的にメインオークションの数%〜10%程度。第三に、入札方式で、シングルプライス・オークション、メインオークションと同様の価格決定メカニズム、地域別価格(リージョン)の考慮。第四に、参加資格で、メインオークション参加資格と同様、発電・蓄電・需要側リソースが対象、既存電源・新規電源の両方が参加可能。第五に、契約期間で、原則1年契約(実需給年度のみ)、メインオークションの長期契約(蓄電池等の特定電源は20年契約)と異なり短期契約。第六に、リクワイアメント・ペナルティで、メインオークションと同様の供給可能性確保義務・リクワイアメント未達時のペナルティ。

蓄電所事業の追加オークション活用パターンは多面的です。第一に、メインオークション不参加・落選後の参加機会で、メインオークションのタイミングに間に合わなかった案件・落選した案件の追加参加機会。第二に、新規参入の機会拡大で、運開時期の柔軟化、計画調整・建設遅延への対応、市場参入の選択肢拡大。第三に、需給逼迫リスクへの対応で、特定の需給逼迫予想時期・地域への戦略的参加、相対的高価格期待の市場機会。第四に、リスク管理で、メインオークションでの長期契約と追加オークションの短期契約の組合せで、価格変動リスク・需給見通しリスクへの対応。第五に、複数年戦略で、毎年の追加オークションへの参加を組み込んだ事業計画、複数年にわたる収益安定化。第六に、長期脱炭素電源オークションとの組合せで、長期20年契約と容量市場(メイン・追加)の収益スタッキング、複数収益源の最適化。第七に、TSO・OCCTOとの連携で、需給見通し情報の活用、追加オークションタイミング・容量への戦略的応答。

2030年に向けて、容量市場・追加オークションは再エネ大量導入・脱炭素化加速の中で進化が続きます。第一に、容量市場制度の継続改善で、メインオークション・追加オークションのバランス、地域別価格・リクワイアメントの精緻化、長期脱炭素電源オークションとの整合。第二に、再エネ大量導入下での容量・調整力確保で、火力電源フェーズアウト下の需給逼迫リスク対応、蓄電池・需要側マネジメント・水素・原子力等の統合活用。第三に、AI予測・最適化の活用で、需給見通し精緻化、追加オークション容量決定の精度向上、運用最適化。第四に、需要側リソース統合の本格化で、VPP・アグリゲーション・分散リソースの容量市場参加、Order 2222相当の制度発展。第五に、地域間連系線運用拡大で、エリア横断の容量確保、地域間最適化。第六に、サイバーセキュリティ・運用継続性確保で、容量市場運用システムの安全性・信頼性強化。第七に、業界団体・規制対話を通じた制度改善で、JESIA等の業界団体の政策提言、電力・ガス取引監視等委員会との対話。蓄電所事業者にとって、追加オークションを含む容量市場の戦略的活用、TSO・OCCTOとの連携、業界団体経由の制度議論参画が、収益安定化・成長性・社会的価値創造の重要な基盤となります。

主な出典・参考情報

  • OCCTO(電力広域的運営推進機関)公表資料・運用規程
  • 資源エネルギー庁 電力・ガス事業政策
  • 電力・ガス取引監視等委員会 報告書・指針
  • JEPX(日本卸電力取引所)取引データ・市場ルール
  • 需給調整市場・容量市場 業務規程
  • 経済産業省 エネルギー基本計画