特定供給(Specified Supply)は、電気事業法第27条の26第1項に基づく電気供給類型の一つで、経済産業大臣の許可を受けて、密接な関係を有する一の需要家または密接な関係を有する複数の需要家に対して、自己の電気事業の用に供するために電気を供給する仕組みである。電気事業者の枠組みに含まれない特殊な供給形態で、企業グループ内・地域内の電力融通等で活用される。

特定供給の許可要件は、(1)密接な関係:資本関係(議決権過半数等)、地理的近接性、産業用途の関係性等、(2)一定規模以下:規模により規制、(3)経産大臣による許可、(4)公正な競争阻害がないこと、(5)需要家の利益保護、(6)変更時の届出義務、で構成される。許可を受けた事業者は、電気事業者ライセンス(小売・発電・送配電)の取得を要さず、電力供給を行うことができる。

主要な活用シナリオは、(a)グループ会社間の電力融通:本社の自家発電所から子会社・関連会社への供給、(b)工業団地内の電力共有:隣接工場間の電力融通、(c)建物複合体の電力融通:商業施設・オフィス・住宅の複合開発内、(d)大学キャンパス・大規模病院・研究機関:自家発電・自家消費の余剰活用、(e)地域マイクログリッド:地域内の発電・蓄電・需要の統合運用、(f)EV充電ステーション:自社発電からの直接供給、(g)スマートシティ:地域脱炭素先行地域での再エネ・蓄電池統合、(h)データセンター:自社PV・蓄電池からの自家消費、で多様化している。

蓄電所事業との関係では、(i)大規模需要家(製造業、データセンター)の自家用蓄電所からのグループ会社向け供給、(ii)地域マイクログリッドでの再エネ+蓄電池統合運用、(iii)コーポレートPPA・自家消費型ソーラーとの組合せ、(iv)24/7マッチング供給の補完、(v)BCP対応の電力融通(災害時の電力共有)、(vi)地域脱炭素先行地域でのコミュニティ電力供給、(vii)VPP・アグリゲーター事業との連携、で活用される。

特定供給と他の電気供給類型の比較は、(A)一般送配電事業:地域独占の送配電網運用、(B)小売電気事業:自由化された一般需要家向け販売(ライセンス制)、(C)発電事業:1万kW超等の発電事業者、(D)特定送配電事業:閉鎖区域内の送配電、(E)特定卸供給事業:VPPアグリゲーター、(F)特定供給:許可制、密接関係先のみ、で異なる位置付けにある。

運用論点は、(i)「密接な関係」の解釈(資本・地理・業務の各観点)、(ii)変更許可の手続(規模変更、需要家追加)、(iii)他法令との整合(独占禁止法、消費者保護)、(iv)需要家保護(料金・サービス品質)、(v)電力データの取扱(個人情報保護)、(vi)2030年代の地域脱炭素・スマートシティ展開での活用拡大、で継続的な制度運用が見込まれる。本サイト「BESS-NET」も特定供給制度の最新動向を解説する方針で、蓄電所事業者の戦略的選択肢の一つとして位置付ける。

2030年代以降のグローバル脱炭素化加速・電力市場進化・電化進展・産業構造転換の中で、本領域は日本のエネルギー転換・産業競争力強化・経済安全保障確保の重要要素として位置付けられます。海外先進事例(米国・欧州・豪州・中国等)の継続把握、グローバル業界団体・国際標準化機関への参画、海外プロジェクト機会の探索、日本企業の海外展開支援機関(JBIC・JICA・JOGMEC等)との連携、ESG・サステナビリティ・グリーンファイナンス対応の高度化が、中長期競争力の基盤として戦略的に重要です。

主な出典・参考情報

  • 経済産業省・資源エネルギー庁 政策資料・統計
  • OCCTO(電力広域的運営推進機関)公表資料
  • 業界団体資料(JESIA、JPEA、JWPA等)
  • IEA・IRENA等の国際機関統計
  • 各社IR資料・公開情報