経済安全保障推進法(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律、令和4年法律第43号)は、2022年5月成立・2023年4月施行の日本の包括的経済安全保障法です。サプライチェーンの強靱化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発、特許出願の非公開化の4本柱で構成され、蓄電池産業に直接影響する「特定重要物資」制度の根拠法となっています。
蓄電池への適用として、2022年12月、政令で「蓄電池」が特定重要物資の一つに指定されました(その他指定物資:半導体、永久磁石、工作機械・産業用ロボット、航空機部品、抗菌薬、肥料、天然ガス、重要鉱物、船舶部品、クラウドプログラム、先端電子部品)。これにより蓄電池サプライチェーンの脆弱性把握・国産化推進・補助金支援等の措置が実施され、(1) 蓄電池供給確保計画の認定制度、(2) 国産電池量産・電池材料国産化への補助、(3) 海外依存度低減のためのサプライチェーン整備、が政策展開されています。
具体的な認定実績として、2026年2月に GS ユアサが定置用 LIB 量産投資計画(事業総額703億円・補助上限248億円・年間2GWh・2028年10月供給開始)の認定を取得。他にもパナソニック・東芝・日産系列・住友化学・三菱ケミカル等が車載用・定置用電池の国産化計画で認定取得を進めています。蓄電所事業者にとって、認定取得国産品の調達は、サプライチェーン透明性・経済安全保障対応・グリーンファイナンス整合の観点で価値を持ちます。
2030年に向けて、経済安全保障推進法は米国 IRA・EU 電池規則・REPowerEU・各国半導体法等のグローバル経済安保競争の中で、日本産業の戦略的位置付けを確保する基盤となります。蓄電池業界では、国産化目標達成・量産規模拡大・コスト競争力確保が三大課題で、政府・電池メーカー・蓄電所事業者・金融機関の協働が必須となっています。
主な出典・参考情報
- 経済産業省 資源エネルギー庁 公開資料
- OCCTO 広域系統運用情報
- 各社IR資料・プレスリリース
- 業界団体資料(電池工業会、JESIA、JPEA、JWPA等)
- BloombergNEF・IHS Markit S&P Global・Wood Mackenzie 等の調査レポート