1. FCRの位置づけ

需給調整市場は応答時間別に5商品:一次調整力(FCR、10秒)・二次調整力①(5分)・二次調整力②(5分・周波数追従)・三次調整力①(45分)・三次調整力②(60分)。FCRは最高速応答が必要で、参入できる電源は限定的。蓄電池が圧倒的優位を持つ。

2. 応札要件

  • (A) 応答時間:10秒以内に最大出力到達
  • (B) 持続時間:5分間最大出力維持
  • (C) 制御精度:±2%以内
  • (D) 通信:1秒周期でのテレメータリング
  • (E) 認定試験:事前の応答時間試験合格

3. 価格水準と収益性

FCRは応答性能の高さから単価が他商品より高い傾向。ΔkW価値の上限価格は年度ではなく実需給日で区切られ、単位は円/ΔkW・30分(kW・h ではない)。一次調整力の上限価格は、2024年4月1日実需給分から2026年3月13日実需給分まで19.51円/ΔkW・30分2026年3月14日実需給分から2026年8月31日実需給分まで15.00円/ΔkW・30分2026年9月1日実需給分から当面の間10.00円/ΔkW・30分と二段階で引き下げられている(複合商品・二次調整力①も同水準。二次調整力②・三次調整力①は全期間7.21円/ΔkW・30分、三次調整力②は上限なし)。上限が設定されている商品の中では一次調整力が最も高い水準にあるが、上限の切下げはΔkW価値収入の上限をそのまま縮めるため、収益前提は適用期間ごとに置き換える必要がある。出典: 電力需給調整力取引所「需給調整市場のΔkW上限価格について」(2026年7月30日更新)(根拠: 一次調整力・二次調整力①・複合商品=第4回 電力安定供給ワーキンググループ〔2026年7月14日〕資料6 スライド22、二次調整力②・三次調整力①=第96回 制度検討作業部会〔2024年9月27日〕資料3 スライド45)。

4. 蓄電池の優位性

FCRはミリ秒単位の応答が要求されるため、火力(数分の応答)・揚水(数十秒)に対し蓄電池は圧倒的優位。PCSの応答時間(数十ms)で十分。蓄電池の市場シェアが拡大しやすい商品で、需給調整市場の中で最も蓄電池に適した商品といえる。

5. 運用実務

(1)応札:実需給日前々日にOCCTOへ応札、(2)約定後の運用:常時待機、周波数偏差時に自動応答、(3)SOC管理:常時SOC50%程度を維持して双方向応答可能に、(4)制御:周波数偏差を検知し下垂特性で出力制御、(5)精算:応答実績に基づく月次精算。

6. 留意点

(1)SOC管理がJEPX運用と競合(マルチユース時の優先順位設定)、(2)応答時間試験合格が前提、(3)2026年度上限価格引下げで収益性低下、(4)応動失敗ペナルティ、(5)劣化加速(高頻度の充放電)、(6)PCS定期点検時の応札停止。

7. 業界への示唆

(1)新規蓄電所はFCR応札を収益軸の一つに、(2)上限価格引下げを織込んだ事業計画、(3)二次・三次との組合せでマルチユース、(4)SOC管理EMSの重要性、(5)応答時間認定試験の確実な合格戦略、(6)2026年度以降の市場再編での自社ポジション再評価が必須。

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