1. 経過措置の制度背景

容量市場は2020年度に初オークション、2024年度実需給開始。本格運用前の期間(2020〜2023年度オークション)に約定した既設電源については、市場価格の変動リスク緩和のため経過措置として控除率(約定価格から一定額減額)が適用された。新設電源・建設中電源・廃止予定電源で扱いが異なる。

2. 経過措置の対象

  • (A) 既設電源:2010年度末までに運転開始した火力・水力・原子力等。資本費の大半を回収済とみなされ、控除率42〜100%
  • (B) 新設電源:2024年度以降運転開始の電源。長期脱炭素電源オークション(LTDC)に移行
  • (C) リプレース電源:既設の老朽化更新で容量市場参加

3. 蓄電池の位置づけ

蓄電池は新設電源として扱われるのが原則だが、容量市場のメインオークションとは別に長期脱炭素電源オークション(LTDC)でも応札可能。経過措置控除は適用されず、約定価格で20年間の固定収入が見込める。これが蓄電所投資の前提として重要。

4. リクワイアメント要件

容量市場のリクワイアメントは経過措置電源も同等に適用:(1)所要kW値の供給能力維持、(2)需給ひっ迫時の電力供給、(3)発動指令への応答、(4)余剰時の出力抑制対応。蓄電池の場合は出力×時間の「実効容量」での評価で、4時間定格×80%出力ベースが標準。

5. 経過措置から本格運用への移行

2024年度実需給開始以降、新設電源には経過措置が適用されない。蓄電所事業者にとっては従来の経過措置混在期から新設電源中心の本格運用期への移行が完了し、市場予測の精度が向上。約定価格水準も平準化される見込み。

6. 業界への示唆

(1)2024年度以降の新設蓄電池は経過措置の影響を受けない、(2)LTDCで20年契約獲得した電源との競争関係を分析、(3)経過措置電源の廃止に伴う容量市場の供給力減少を見込む、(4)kW価格上昇の可能性とその場合の収益機会、(5)中長期の容量市場全体予測には経過措置電源の動向把握が必須。