リチウムイオン電池に代わる次世代エネルギーデバイスとして、大容量化や高い安全性・低コストが期待される空気電池が注目されています。しかしながら、亜鉛空気電池は電圧が1.4 V程度で、3.7 Vを発生するリチウムイオン電池と比べて低く出力も小さいため、低出力で長時間駆動する補聴器などに用途が限られていました。<br /> 東北大学材料科学高等研究所の藪浩教授(主任研究者)および東北大学発スタートアップであるAZUL Energy株式会社(代表取締役:伊藤晃寿)からなる研究グループは、独自に開発した正極触媒と酸性・アルカリ性電解質をタンデムに配置したセルを用いることにより、開放電圧が2 V以上で高い出力を有する亜鉛空気電池を実現できることを見出しました。本成果は電気自動車やドローンなどに金属空気電池を適用する際のボトルネックとなっていた電圧や出力不足の問題を解決する端緒を開く研究成果であると考え
図1 本研究で開発したAZUL触媒電極と酸性・アルカリ性電解質タンデム型亜鉛空気電池セルの模式図
1.研究の背景
近年電気自動車(EV)やドローンなどの普及に伴い、大容量で高出力な電池の開発は走行・飛行距離の長距離化や電費の効率化の実現において重要な研究開発課題となっています。また、太陽光、風力などの自然エネルギーの備蓄や長期の停電にも対応できる大型のバックアップ用電源、系統電力の平準化など大型蓄電池の需要が増加しています。大型蓄電池にもリチウムイオン電池が用いられますが、価格の高さや安全性の問題、更にはリチウムやコバルトなどの資源問題から、次世代の大容量エネルギーデバイスのニーズが高まってきております。
電池のエネルギー密度と出力密度の関係を示すラゴンプロットに示される通り、亜鉛空気電池に代表される金属空気電池はリチウムイオン電池(Lithium-Ion Battery, LIB)に比べ大きな容量を有し、次世代のエネルギーデバイスとして期待されています。空気電池は、正極では空気中の酸素を取り込み、負極には安価な亜鉛やアルミニウム、鉄などを用いる構成の次世代電池で製造コストが低いという特徴があります。しかしながら亜鉛空気電池の電圧は1.4 V程度であり、3.7 VのLIBに比べ駆動電圧が低く出力も低いため、低出力で長時間駆動する補聴器など、限られた用途にしか用いられてきませんでした。そのため、上記のデバイスに金属空気電池を適用するためには、駆動電圧を上げ、高出力化することが求められてきました。
出典・関連情報 企業公式サイト: https://www.azul-energy.co.jp/ PR TIMES: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000055590.html