全固体電池(Solid-state Battery, SSB)の本格商用化が国内主要メーカーで進展しています。蓄電所ネットでは、技術動向と系統用途への展開可能性を整理しました。
全固体電池の技術的優位性として、(1)電解液に代えて固体電解質を採用することで熱暴走リスクが原理的に大幅低減(UL 9540A等の安全試験で大幅な優位性)、(2)リチウム金属負極の採用でエネルギー密度300〜500Wh/kg(現リチウムイオン200〜250Wh/kg比1.5〜2倍)、(3)サイクル寿命5,000〜10,000サイクル超(現主流の数倍)、(4)動作温度範囲-40〜100℃の幅広い対応、(5)急速充電性能の本格対応(10〜15分での80%充電)、を実現します。
国内主要メーカーの開発動向として、トヨタ自動車・出光興産は硫化物系固体電解質の量産化で先行、2027〜2028年のEV搭載開始を目指しています。パナソニックEWエナジーは車載・住宅用全固体電池の研究開発を推進。村田製作所は酸化物系固体電解質を採用したコイン型・小型全固体電池を商用化済み。日立造船・住友化学・古河電気工業等も次世代電池研究開発で参画しています。中国(CATL・BYD)・韓国(LG Energy Solution・サムスンSDI)・米国(QuantumScape・Solid Power)との激しい開発競争のもと、日本は固体電解質技術で先行優位を保っています。
系統用蓄電池への影響として、当面は車載・産業用・特殊用途から商用化が始まり、系統用途への本格展開は2030年代後半以降と見込まれます。系統用での意義は、(1)安全性大幅向上による消火設備・区画分離設計の根本的見直し、(2)長寿命化による事業性大幅改善、(3)安全性重視用途(住宅近隣・密集地・特殊環境)への展開、(4)寒冷地・酷暑地での性能優位、(5)UL 9540A・IEC 62933等の規制要件への対応大幅簡素化、と多面的です。
サプライチェーン・経済安全保障として、全固体電池の量産には固体電解質・リチウム金属・新型材料の国内製造能力強化が必須。経済産業省のNEDO支援、長期脱炭素電源オークション関連実証、電池サプライチェーン国産化政策との統合的取り組みが進んでいます。蓄電所ネットでは、技術ロードマップ・主要メーカー動向・系統用途展開時期を継続的に追跡します。