経済産業省・OCCTOが運用する長期脱炭素電源オークション(Long-Term Decarbonization Auction:LTD-A)の2026年度入札が、2026年Q1に実施されました。蓄電池が独立した対象電源として位置付けられ、20年間の長期固定収入による投資回収の枠組みのもと、大型蓄電所案件の本格普及を後押しする制度として機能しています。
長期脱炭素電源オークションの概要として、対象電源は脱炭素電源(蓄電池・水素・アンモニア発電・原子力・地熱・水力・バイオマス等)で、約定電源は20年間の容量拠出金と固定収入が確保されます。蓄電池は当初、容量市場と需給調整市場の収益のみで投資回収を目指す事業モデルが主流でしたが、本オークションの導入により、長期収入の安定化と大型案件のファイナンス組成が容易になりました。
蓄電池事業者にとっての意義として、第一に投資回収期間(PBT)の安定化で、市場価格変動リスクの大幅低減と長期事業計画の予見可能性向上。第二にファイナンス組成の容易化で、プロジェクトファイナンスのDSCR(デットサービスカバレッジ比率)安定確保とインフラファンドからの資金供給拡大。第三に大型案件の現実化で、100MW超級・GW級の超大型蓄電所開発が経済性を持つ環境整備。第四にグリーンファイナンス連動で、ESG投資・グリーンボンド・サステナビリティリンクファイナンスとの統合最適化。
業界・プレイヤー動向として、JERA・ENEOSホールディングス・各電力会社グループ・大手商社(三菱・伊藤忠・住友・丸紅・三井・双日)・専業IPP・インフラファンド・海外資本(BlackRock・Stonepeak・Brookfield・Macquarie等)の参画が活発化しています。プロジェクトの大型化・サプライチェーン国産化・経済安全保障対応・サイバーセキュリティ強化なども、業界全体の重要テーマとなっています。
今後、第7次エネルギー基本計画(2025年策定)に基づく2030年・2040年の電源構成目標達成に向け、本オークションの恒常的運用と容量拡大が見込まれています。蓄電所ネットでは、本オークションの動向、約定結果、参画事業者の戦略を継続的に追跡・報告していきます。