FRT(Fault Ride Through)とは、系統側で短絡・地絡などの故障が発生し電圧が一時的に大きく低下しても、発電設備や蓄電池設備が一定時間(数百 ms〜数秒)解列せず運転を継続する能力を指します。系統大停電を防ぐため、再エネ・蓄電池等の連系設備に課される系統連系規程の必須要件で、低電圧 FRT(LVRT)と高電圧 FRT(HVRT)に分類されます。

日本では系統連系規程(電気協同研究会/JESC E0019)で FRT 要件が定められ、PCS は残電圧 20% 程度まで0.15〜1秒程度の運転継続が求められます。具体的には、(1) 残電圧 20% でも 0.3秒間運転継続、(2) 残電圧 50% で 1.0秒、(3) 残電圧 90% で2秒、というプロファイルが代表的。電圧復帰後、有効電力・無効電力を所定速度で復帰させる無効電力供給(電圧支援)機能も求められます。

系統用蓄電池への影響として、FRT 要件は PCS 選定の重要な技術仕様です。海外メーカー製 PCS(Power Electronics、Sungrow、Hitachi Energy 等)は欧米仕様(IEEE 1547・EN 50549)と日本仕様(JESC E0019)でファームウェア・パラメータが異なるため、認証取得・試験対応が EPC・メーカーの実務上の重要工程となります。電力会社の連系協議でも FRT 性能の確認・試験成績書提出が必須です。

2030年に向けて、再エネ・蓄電池の大量連系が進む中、FRT 要件は系統安定性確保の鍵となり、より高度なグリッドフォーミング機能(VSG:Virtual Synchronous Generator)と組合わさった次世代要件へと発展しつつあります。OCCTO・電力広域機関では系統安定化策の見直しが進み、PCS メーカー各社も次世代インバータの開発を加速しています。

主な出典・参考情報

  • 経済産業省 資源エネルギー庁 公開資料
  • OCCTO 広域系統運用情報
  • 各社IR資料・プレスリリース
  • 業界団体資料(電池工業会、JESIA、JPEA、JWPA等)
  • BloombergNEF・IHS Markit S&P Global・Wood Mackenzie 等の調査レポート