CCS(Carbon Capture and Storage、CO2回収貯蔵)は、火力発電所・工場等から排出される二酸化炭素を分離・回収し、地中の帯水層・枯渇油田等に圧入・貯留する技術の総称です。気候変動対策の重要技術として国際的に位置付けられ、IPCC・IEA も2050年カーボンニュートラル達成のための必須技術と評価。日本では「CCS事業法」が2024年5月に成立し、本格的な実装フェーズに移行しつつあります。
CCS のプロセスは、(1) 化学吸収法・物理吸収法・膜分離法等で CO2 を分離・回収、(2) 圧縮・液化・パイプライン/船舶輸送、(3) 地下貯留地点へ圧入、(4) 貯留サイトの長期モニタリング、です。日本国内の CCS プロジェクトとしては、苫小牧 CCS 大規模実証(2016〜2019、累計30万トン圧入)が代表事例で、2030年までに北海道・東北・新潟・北部九州エリアで複数の商用 CCS プロジェクトの稼働が計画されています。
蓄電所事業との関係は、長期脱炭素電源オークション(LTDC)の対象電源として CCS と蓄電池が並列に位置付けられる点が重要です。第3回(2025年度)LTDC では CCS・LDES(長時間蓄電)が新規対象電源として追加され、蓄電池との競争関係になりつつあります。CCS 付き火力(CCUS)は脱炭素電源として20年容量契約を獲得可能で、再エネ+蓄電池のリーゾーンと火力+CCS のリーゾーンが市場を分け合う構図です。
2030年に向けて、CCS は CO2 排出量削減・脱炭素電源確保・産業競争力維持の三位一体政策の中核として、政府・産業界が大型投資を進めています。日本企業(INPEX・JOGMEC・三井物産・日揮等)はオーストラリア・東南アジア・北米での CCS プロジェクトに参画。蓄電所事業者にとっても、LTDC 落札動向・CCS 実装加速の影響を踏まえた中長期事業戦略が必要です。
主な出典・参考情報
- 経済産業省 資源エネルギー庁 公開資料
- OCCTO 広域系統運用情報
- 各社IR資料・プレスリリース
- 業界団体資料(電池工業会、JESIA、JPEA、JWPA等)
- BloombergNEF・IHS Markit S&P Global・Wood Mackenzie 等の調査レポート