1. 制度の概要
長期脱炭素電源オークション(LTDC)は2024年1月に第1回が実施された新しい容量市場の一形態。脱炭素電源の建設・維持に20年間の固定収入を保証する制度で、蓄電池・原子力・再エネ・水素アンモニアが対象。事業者にとっては最大の安定収益源として急速に注目を集めた。
2. 第1回・第2回の蓄電池落札実績
第1回(応札年度2023)では蓄電池1GW強の落札で需給調整・容量市場と並ぶ主要収益源を確保。第2回(応札年度2024)は27件・137万kWが落札、応札約780万kWに対し落札96.1万kW(落札率24%)の狭き門となった。
3. 第3回(2025年度)の制度変更
OCCTOは第3回から以下を追加・変更:
- CCS(CO2回収貯蔵)付火力を新規対象に追加
- 長期エネルギー貯蔵システム(LDES)を新規対象に追加(レドックスフロー、NAS等の長時間放電技術)
- 蓄電池募集枠を1GW→0.8GWに縮小
- リチウムイオン電池(主流)の枠は0.4GWに絞られる
4. なぜ縮小か
第1回・第2回で蓄電池応札が殺到し、容量市場との重複や系統側の運用課題が顕在化。一方でCCS・LDESは脱炭素実現に不可欠ながら投資回収難度が高く、政策的に下支えする必要があった。LTDCの「枠の再配分」で、技術ポートフォリオを多様化する意図が明確。
5. 事業者への影響
LTDC落札を前提にしていた蓄電池プロジェクトは、応札競争がさらに厳しくなる。フルマーチャント(市場収益のみ)モデルへの依存度が高まり、kW価値の積み上げに頼らない収益設計が必須に。一方、住友電工レドックスフロー、長時間放電NAS等のLDES技術は、新たな機会を得る。
6. 今後のスケジュール
第3回約定結果は2026年春頃公表予定。事業者は応札戦略の見直し、LDES案件の検討を急ぐべきフェーズ。
※本稿は公開情報を編集部が整理した解説記事です。個別事業の意思決定にあたっては一次出典・専門家のレビューを必ずご参照ください。