容量市場の発動指令電源では、発動時に確実に応動し、リクワイアメントを満たすことが事業継続の鍵です。本記事では、発動指令電源の運用実務、ペナルティ回避の戦略、最適化EMS設計を整理します。
発動指令電源は、需給逼迫時に属地エリアの一般送配電事業者からの発動指令を受けて発電・放電する電源です。容量市場では、発電量を常時提供する「安定電源」と区別されます。
2. 要件:継続時間と指令のリードタイム
発動指令電源に求められる要件は次のとおりです。
- 指令から応動までの猶予:発動指令は応動の3時間以上前に発令される(指令の対象時間は土曜日・日曜日・祝日を除く9時〜20時)。需給調整市場のような秒〜分単位の応動は求められない
- 継続時間:1回の発動につき3時間
発動指令電源のリクワイアメントは、1回の発動につき継続時間3時間(指令後の取消し・中断は行われません)です。したがって3時間分の供給力を継続して出せることが要件となります。
3. リクワイアメント遵守の実務
落札後、リクワイアメントを満たさないとペナルティが課されます。遵守の柱は以下です。
- BMSによる電池状態の常時監視(SOC・SOH)
- 長期運用計画(過放電・過充電を回避し、発動可能状態を維持)
- O&M計画(部分更新・点検)との整合
- 需給調整市場・JEPXとの市場間運用最適化(EMSが鍵)
- 異常時の即時通知・自動切替
4. 最適化EMSの役割
EMS(Energy Management System)は、複数市場の収益最大化と容量市場リクワイアメントの両立を担う中核システムです。主な機能:
- 市場価格予測(JEPX・需給調整市場)
- 充放電スケジュールの日次最適化
- 容量市場発動可能状態の維持(最低SOCの確保)
- 異常時の安全停止・代替戦略
5. 経済的ペナルティの仕組み(アセスメントの対象と通知)
容量市場のリクワイアメント未達に対しては「経済的ペナルティ」が課されます。発動指令電源では、属地一般送配電事業者からの発動指令への応動がアセスメントの対象で、1日に複数回発令された場合は同日内の1回分(1回目の指令)のみが対象、年間で13回目以降の発令はアセスメント及びペナルティの対象外です。経済的ペナルティ額は算定対象月の4か月後の中旬頃に通知され、当該月に発動指令が無かった場合は通知書自体が発行されません。
6. ペナルティ回避戦略
- SOC下限の余裕設定(例:常時20%以上をキープ)
- 計画停止の事前通告と代替手段の準備
- 需給調整市場・JEPX運用との優先順位設計
- BMS・PCSの予防保全
7. アセスメントの対象となる発動の回数と時間
アセスメントの対象となる発動指令は年間12回・1日1回まで(1回の継続時間は3時間)です。したがってアセスメントの対象となる発動は年間最大36時間(3時間×12回)です。
まとめ
- 発動指令電源は、属地一般送配電事業者からの発動指令(応動の3時間以上前に発令)を受けて供給力を提供する電源区分
- アセスメントの対象となる発動指令は年間12回・1日1回まで(1回の継続時間は3時間)
- リクワイアメント遵守はBMS・運用計画・EMS最適化で支える
- ペナルティ回避はSOC余裕・予防保全・運用設計が鍵
- 最適化EMSの精度が長期収益を左右
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訂正履歴
2026年10月22日 訂正直す前:
- 導入文に「容量市場で蓄電池が落札する場合、多くは「発動指令電源」として参加します。」と記載
- 1節に「蓄電池は応答速度が速いため、多くが発動指令電源として登録されます。」と記載
- 2節の見出しを「評価軸:時間定格と応動時間」、導入文を「蓄電池の評価は以下の軸で決まります。」とし、箇条に「時間定格:定格出力で何時間放電できるか」「継続発動可能時間:1回の発動でどれだけ継続できるか」と記載
- 7節「発動指令の頻度と実態」に「発動指令は年間12回(1日1回)を上限として発令され」「実際の発令回数は需給状況による」と記載し、まとめに「リクワイアメントは1回の発動につき継続時間3時間・年間12回(1日1回)が上限」と記載
直した後:
- 「多く」の記述を削除し、「容量市場の発動指令電源では、発動時に…」に修正しました(裏づけとなる一次資料を確認できなかったため。OCCTO の資料では、1日1回以上連続3時間以上運転できる蓄電池は安定電源としての参加が基本とされています)
- この文を削除しました(裏づけとなる一次資料を確認できなかったため)
- 見出しを「要件:継続時間と指令のリードタイム」、導入文を「発動指令電源に求められる要件は次のとおりです。」に修正し、「時間定格」の箇条を削除、もう一つの箇条を「継続時間:1回の発動につき3時間」に修正しました(業務マニュアルの要件は継続時間3時間・指令は応動の3時間以上前・年間発動回数12回で、時間定格の項目は無いため)
- 7節の見出しを「アセスメントの対象となる発動の回数と時間」とし、本文とまとめを「アセスメントの対象となる発動指令は年間12回・1日1回まで(1回の継続時間は3時間)」に修正しました。裏づけの無い「実際の発令回数は需給状況による」の文は削除しました(業務マニュアルでは、12回・1日1回は発令の上限ではなくアセスメントの対象となる範囲のため)
2026年9月30日 訂正直す前:
- 「発動指令電源は、需給逼迫時にOCCTOからの指令を受けて発電・放電する電源」
- 「応動時間:指令から発動までの所要時間(蓄電池は秒単位)」
- 「4時間定格以上が発動指令電源の主流で、短時間定格は評価が低くなる傾向」
- ペナルティを「未発動ペナルティ/容量未確保ペナルティ/軽微違反の累積ペナルティ」・「年間発動時間は数十時間〜数百時間程度」・まとめに「4時間定格以上の蓄電池が一般に評価されやすい」「発動指令電源は需給逼迫時の即時発動を求められる電源区分」と記載
- 出典欄に OCCTO「発動指令電源の応動評価」・資源エネルギー庁「容量市場の運用について」と記載
直した後:
- 発動指令は属地エリアの一般送配電事業者から発令
- 指令は応動の3時間以上前に発令(対象時間は土日祝を除く9時〜20時)で秒〜分単位の応動は求められない
- リクワイアメントは1回の発動につき継続時間3時間(取消し・中断なし)
- 未達には「経済的ペナルティ」(同日複数回は1回目のみ、年間13回目以降は対象外、算定対象月の4か月後の中旬頃に通知、発動指令の無い月は通知書なし)
- 年間12回(1日1回)が上限で年間発動時間は最大36時間
- まとめも同旨に改め、「即時発動を求められる電源区分」を「属地一般送配電事業者からの発動指令(応動の3時間以上前に発令)を受けて供給力を提供する電源区分」に改めた
- 出典は発行元で確認できない資料名を 電力広域的運営推進機関「容量市場 業務マニュアル 実需給期間中リクワイアメント対応(発動指令電源)編(対象実需給年度:2026年度)」(2026年4月27日 第2版)・同「ペナルティ・容量確保契約金額対応編」(2025年12月25日 第1版)・同「容量市場の概要について」(2019年10月 説明会資料)に改めた
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