1. 耐用年数はどう決まるか

減価償却資産の耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和四十年大蔵省令第十五号)の別表で定まる。機械及び装置は別表第二の「設備の種類」のどれに当たるかで年数が変わる。国税庁「耐用年数の適用等に関する取扱通達」1-4-2 は「当該設備が別表第二の『設備の種類』に掲げる設備(以下「業用設備」という。)のいずれに該当するかは、原則として、法人の当該設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用しているかにより判定する」とし、同 1-4-3 は「最終的な製品…に基づき判定する」「最終製品に係る設備が業用設備のいずれに該当するかの判定は、原則として、日本標準産業分類の分類によることに留意する」とする。

国税庁の質疑応答事例「風力・太陽光発電システムの耐用年数について」は、自動車工場の構内に置いた自家発電設備について「耐用年数省令別表第2『31 電気業用設備』の『その他の設備』の『主として金属製のもの』の17年ではなく、同別表第2『23 輸送用機械器具製造業用設備』の9年を適用することとなります」と回答している。発電した電気を自社の別の最終製品に使うのか、電気そのものを供給するのかで区分が変わる、という判定の枠組みが読み取れる。

2. 省令の別表に「蓄電所」の細目は無い

耐用年数省令の全文(e-Gov 法令検索・法令ID 340M50000040015、2026年5月22日施行の版)を通して「蓄電」の語が現れるのは1か所だけで、別表第一の「建物附属設備|電気設備(照明設備を含む。)|蓄電池電源設備|六」である。ただしこの「蓄電池電源設備」は、国税庁「耐用年数の適用等に関する取扱通達」2-2-2(1) が「停電時に照明用に使用する等のためあらかじめ蓄電池に充電し、これを利用するための設備をいい、蓄電池、充電器及び整流器(回転変流器を含む。)並びにこれらに附属する配線、分電盤等が含まれる」と定義する非常用の建物設備を指す。系統用蓄電池そのものを名指しした細目は、一次資料には無い。

関係しうる別表の細目を逐語で挙げる。どれに当たるかは第1節の判定によるため、ここでは年数を断定しない。

  • 別表第二「31 電気業用設備」…「汽力発電設備|一五」「内燃力又はガスタービン発電設備|一五」/「送電又は電気業用変電若しくは配電設備」のうち「需要者用計器|一五」「柱上変圧器|一八」「その他の設備|二二」/「鉄道又は軌道業用変電設備|一五」/「その他の設備」のうち「主として金属製のもの|一七」「その他のもの|八」
  • 別表第一 建物「変電所用、発電所用、送受信所用、停車場用、車庫用、格納庫用、荷扱所用、映画製作ステージ用、屋内スケート場用、魚市場用又はと畜場用のもの」…鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造「三八」/れんが造、石造又はブロック造「三四」/金属造(骨格材の肉厚が四ミリメートルを超えるもの)「三一」/同(三ミリメートルを超え四ミリメートル以下)「二五」/同(三ミリメートル以下)「一九」/木造又は合成樹脂造「一七」/木骨モルタル造「一五」
  • 別表第一 構築物「発電用又は送配電用のもの」…「送電用のもの」のうち「地中電線路|二五」「塔、柱、がい子、送電線、地線及び添加電話線|三六」/「配電用のもの」のうち「鉄塔及び鉄柱|五〇」「鉄筋コンクリート柱|四二」「配電線|三〇」「引込線|二〇」「地中電線路|二五」

3. 償却の方法

法人税法施行令第十三条は減価償却資産を「一 建物及びその附属設備」「二 構築物」「三 機械及び装置」…と区分する。同第四十八条の二第一項は、平成十九年四月一日以後に取得した資産について、第一号で第十三条第一号・第二号の資産(建物・建物附属設備・構築物)を扱い、同号イ「平成二十八年三月三十一日以前に取得をされた減価償却資産(建物を除く。)」には定額法と定率法を、同号ロ「イに掲げる減価償却資産以外の減価償却資産」には「定額法」を定める。機械及び装置を含む第十三条第三号から第七号までの資産は、第二号で定額法(同号イ)と定率法(同号ロ)から選ぶ。(e-Gov 法令検索・法人税法施行令 340CO0000000097、2026年7月31日施行の版)

4. 特別償却・税額控除

(1) 中小企業経営強化税制(租税特別措置法第四十二条の十二の四)。国税庁タックスアンサー No.5434[令和7年4月1日現在法令等]は、特別償却限度額を「その取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額」(即時償却に相当)、税額控除限度額を「取得価額または基準取得価額の7パーセント(特定中小企業者等…については10パーセント)相当額」とする。適用には中小企業等経営強化法の認定(特定認定)が要る。指定期間は条文上「平成二十九年四月一日から令和九年三月三十一日まで」。

(2) 中小企業投資促進税制(同法第四十二条の六)。No.5433 は特別償却限度額を「基準取得価額の30パーセント相当額の特別償却限度額を普通償却限度額に加えた金額」、税額控除限度額を「基準取得価額の7パーセント相当額」とし、税額控除の対象法人を「資本金の額もしくは出資金の額が3,000万円以下の法人または農業協同組合等もしくは商店街振興組合」に限る。指定期間は条文上「平成十年六月一日から令和九年三月三十一日まで」。

(3) 指定事業に「電気業」は挙がっていない。 No.5433・No.5434 が挙げる指定事業は「製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、…」で、ガス業は入っているが電気業は入っていない。また No.5433 は対象資産について「貸付けの用に供する資産は、特定機械装置等には該当しません」とする(内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人を除く)。自社の事業がどの指定事業に当たるか、また第三者に貸し出す形態が「貸付けの用」に当たるかの判定は、個別に確認が必要である。

(4) カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(同法第四十二条の十二の六)。対象は「特定認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された生産工程効率化等設備」であって、再生可能エネルギー設備や蓄電池の導入一般ではない。数値は改正で動いているので、時点を分けて示す。

  • 現行条文(e-Gov 法令検索・租税特別措置法 332AC0000000026、2026年8月12日施行の版)…特定認定の期限は「令和十年三月三十一日」、特別償却限度額は取得価額の「百分の三十」、税額控除率は中小企業者が「百分の十」「百分の五」、中小企業者以外が「百分の八」「百分の三」。控除上限は「調整前法人税額の百分の二十に相当する金額」。
  • 国税庁 No.5925[令和7年4月1日現在法令等]…認定期限は「令和8年3月31日」、特別償却限度額は「生産工程効率化等設備の取得価額×50パーセント」、税額控除は「5パーセント(一定の場合には14パーセントまたは10パーセント…)」。

(5) 手続。No.5925 は「特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書等を添付して申告する必要があります」「税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額に関する明細書等を添付して申告する必要があります」とする。確定申告での記載・添付であり、事前に要るのは制度ごとの計画認定である。

5. 固定資産税

地方税法第三百四十一条は「家屋」を「住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいう。」と定義し、「償却資産」を「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(鉱業権、漁業権、特許権その他の無形減価償却資産を除く。)でその減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるもの…」と定義する。償却資産の課税標準は同第三百四十九条の二により「賦課期日における当該償却資産の価格で償却資産課税台帳に登録されたもの」とされる。

課税標準の特例として、地方税法附則第十五条第四十二項は、中小事業者等が「令和七年四月一日から令和九年三月三十一日までの期間」内に、雇用者給与等支給額の増加に係る事項が記載された認定先端設備等導入計画に従って取得した先端設備等に該当する機械装置等について「三年度分の固定資産税に限り、当該機械装置等に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の二分の一の額とする」、雇用者給与等支給額の大幅な増加に係る事項が記載された計画によるものは「五年度分の固定資産税に限り、当該機械装置等に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の四分の一の額とする」と定める。減免ではなく課税標準の軽減であり、市区町村による計画の認定が前提となる。(e-Gov 法令検索・地方税法 325AC0000000226、2026年9月24日施行の版)

6. 廃止・移行した制度

  • 租税特別措置法第四十二条の五…現行条文(2026年8月12日施行の版)は「削除」。同法附則(平成三十年法律第七号)第八十九条は「法人が施行日前に取得又は製作若しくは建設をした旧租税特別措置法第四十二条の五第一項に規定するエネルギー環境負荷低減推進設備等については、なお従前の例による。」とし、施行日前に取得した設備についてのみ従前の例が残る。環境省「租税特別措置等に係る政策の事前評価書」(評価実施時期 平成27年8月、担当部局 環境省地球環境局地球温暖化対策課)は、この措置の名称を「エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は特別控除の拡充及び延長(グリーン投資減税)」とし、対象設備から除外する要望として「②定置用蓄電池」を挙げている。「環境関連投資促進税制」という名称の規定は、現行の租税特別措置法には無い。
  • 連結納税制度…国税庁「グループ通算制度」は「令和2年度税制改正において、連結納税制度を見直し、グループ通算制度へ移行することとされ、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされました。」とする。No.5900 は「適用対象となる法人は、親法人およびその親法人との間にその親法人による完全支配関係…がある子法人に限られます。」とし、親法人から除かれる法人として「(6)投資法人、特定目的会社」を挙げる。

7. 借入に関する条文

  • 過大支払利子税制(租税特別措置法第六十六条の五の二)…「対象純支払利子等の額」が「当該法人の当該事業年度の調整所得金額…の百分の二十に相当する金額を超える場合には、当該法人の当該事業年度の対象支払利子等合計額のうちその超える部分の金額に相当する金額は、当該法人の当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。」。関連者向けの利子だけを対象とする旧制度ではない。
  • 過少資本税制(同第六十六条の五)…「国外支配株主等及び資金供与者等に対する負債に係る平均負債残高が当該事業年度の当該内国法人に係る国外支配株主等の資本持分の三倍に相当する金額を超えるときは、…その超える部分に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額は、当該内国法人の当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。」。国外支配株主等がいる場合の規律であり、借入の使途を問う規定ではない。

8. この記事の位置づけ

本記事は、法令と国税庁の通達・質疑応答事例・タックスアンサー等の公表資料の記載を整理したものである。個別の事案への当てはめ(設備区分の判定、制度の適用可否、申告手続)は示していない。適用の可否は必ず税理士に確認すること。税制の数値・期限は改正で変わるため、適用日を跨ぐ論点は現行条文で確認すること。